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サーファーとして生きる、ということ。vol.2

1 :名無SEA:2006/06/23(金) 18:31:03
とある物語のプロローグは一人歩き始めた

あの頃の僕達は

そう、あの頃の僕達は・・・・・


2 :漂泊の2ゲッター:2006/06/23(金) 18:32:43
2ゲットだフラァ!!
     ∧∧,..,、、.,、,、、..,_       /i
   ;'゚Д゚、、:、.:、:, :,.: ::`゙:.:゙:`''':,'.´ -‐i
   '、;: ...: ,:. :.、.:',.: .:: _;.;;..; :..‐'゙  ̄  ̄     
    `"∪∪''`゙ ∪∪´´

3 :BYRON JYURIANO ADMSKEY ◆4/9....... :2006/06/23(金) 18:33:26
前スレ
http://sports9.2ch.net/test/read.cgi/msports/1081907500/

4 :名無SEA:2006/06/23(金) 23:25:26
thanks
you
>>3






byまんまんみてチィンコむきむき

5 :名無SEA:2006/06/24(土) 19:38:22
海行った後はムラムラしてしょうがない。

6 :新作野郎:2006/06/25(日) 22:14:18
前スレ落ちてますね。
どうしよう・・・

7 :インザピンク ◆vqEd1nCacM :2006/06/26(月) 08:44:48
>>6
にくちゃんねるで検索してリンク貼るべし

8 :名無SEA:2006/06/26(月) 09:38:38
がんがれ

9 :名無SEA:2006/06/27(火) 12:20:52
サーファーって家族を養えるの?

10 :名無SEA:2006/06/27(火) 22:30:44
(*´Д`)ハァハァ
まだーのありがとう

11 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/06/28(水) 17:50:29
あっれ〜。いつの間にか、次スレ立っちゃってたの?
つか、前スレ落ちちゃったんだ。残念。
新作君のは完結したのか?その前に落ちちゃったのかい?
そんなことあるんだね。新作君完結してなかったらカワイソス・・・。
てか、後半まだよく見てなかったのでオレも非常に残念。
けっこう盛り上がる展開だったのにな・・・。
でも、ありがとう。面白かったぜ。
続きあれば、ヨロシク!


つか、バイロン先生見てたのねw


12 :名無SEA:2006/06/28(水) 21:14:54
新作君kottini
買いちゃいなよ。






byjany

13 :名無SEA:2006/06/28(水) 22:14:09
>>12 なーにそれ?初めて聞いたっスよ。
てか新しい作品も読みたいけど、出来たのかな?

14 :新作野郎:2006/06/29(木) 14:15:03
それじゃあ、もう一回始めちゃいます。
若干、加筆、修正をくわえてアップしますので
皆さまどうぞ再度おつき合いください。

15 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/06/29(木) 15:12:40
>>14
お〜新作君復帰かい?
オレなんて仕事片手間でいろいろ考えてるんだけど、中々進めなくて・・・。
でも新スレ立ったら載せるっていった手前、1/3くらいできたから、
ゆっくり載せようかと思ったけど、新作君のが完結するまでまっとるよ。

前スレでは、少年と地元ローカルでひと悶着あって、
華子が少年の寝込みに失敗するところまで読んだw
実はもうやっちゃったのかなっていうぐらい進んでないよね?
がんがれ!

16 :名無SEA:2006/06/29(木) 19:47:54
まってたお。
あげるお

17 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/29(木) 23:16:30

『サーファーガール華子と犬の太郎』


<第一章> 「出会い編」

華子が住んでいたアパートの近くに太郎という犬がいた。
しかし、その名前は華子が勝手にその犬の名前を太郎とつけて呼んでいるだけの名前だった。
飼い主がつけた本当の名前が太郎には存在したがそんなことは華子が知る由もなかった。
華子がなぜその犬を「太郎」と呼んだのかは定かではない。もしかしたら「ジョン」とか「ポチ」でも
よかったのかもしれない。しかし華子が「太郎」と呼んだことでその犬の名前は以後「太郎」となったのだった。
太郎はおそらく雑種犬だった。しかしそれも華子が犬の種類をよく知らないだけのことで、
もしかすると太郎は血統書付きの犬だった可能性もあった。ようするに太郎という犬はそんな犬だった。
華子が太郎と初めて会ったのは、華子が海沿いのアパートに引越してきた次の日に海に向かう途中の道程だった。
太郎はいつも眠っていた。少なくとも華子が太郎を見かけるときは太郎は犬小屋の脇に寝そべり、
必ず死んだように身動きもせずに眠っていた。ほんとうに死んでいるんじゃないかと思うくらい太郎は
身動きひとつせずに眠っていた。
華子は海に向かうときにはいつも「太郎、太郎」と呼びかけながらその家の前を通り過ぎた。
何回目のことだっただろうか。海に行く途中その家の前に差しかかるといつものように
太郎は犬小屋の脇で死んだように眠っていたが、華子の呼びかける声に反応するかのように
僅かに耳をぴくっぴくっと動かしたのだ。
華子は初めて太郎が動くところを見て、あたりまえだがやっぱり生きているんだと思った。
そして、それと同時に普通の犬のようにワンと吠えたり尻尾を振る太郎の姿をどうしても見たいと思った華子は
なんとかして太郎を起こして自分に懐かせる方法はないものかと考え始めた。

18 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 00:36:04

華子が東京から海沿いの小さなこの町に移り住んだのは、高校生のとき友人と訪れたこの町で
生まれて初めて見たサーファーの印象が強く記憶に残っていたからかもしれない。
真夏のある日、友人とこの海岸に来た華子は、キラキラと目を細めるほど眩しい陽光をまき散らしながら
寄せてくる波の中に人がいるのを見た。
始めそれがサーファーだとわからずまるで幻でも見ているような錯覚にとらわれ呆然とした。
やがて目が慣れてくるにつれ波の中にいる人間がサーフィンをやっていることに気づいたのだった。
サーファーは切り立った波の壁に白い軌道を描き大きくカーブしながら自在に走り回っていた。
ときにはもの凄いスピードでクルンっと回転して空に大きな飛沫を飛ばした。
「なんか孫悟空が筋斗雲に乗ってるみたいだね」と友人の珠子は言ったが、
華子にはアラジンが魔法の絨毯に乗っているように見えた。
魔法の絨毯。華子は自分が空を飛んでいることを想像した。ああ、なんて素敵なんだろう。
そう思うとどうしてもサーフィンをやらなければならないという使命感にも似た高揚が華子を包んだ。
家に帰るとさっそく近所の本屋に行きサーフィン雑誌を探した。何冊か立ち読みしてわかったことは、
高校生の華子にとってサーフボードが高価な物だということと、サーフボード以外にも必要な物が
いくつもありそうだということだけだった。

19 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 00:37:18

何をすればいいのか皆目見当がつかなかったがとにかくバイトを始めることにした。
そして、その合間に量販店のサーフショップを回り疑問点などを質問した。
まず初めに選択しなければならなかったのがボードの種類だった。華子はあの海岸で見たサーファーを
思い出しショートボードから始めるつもりだったが、そのショップの店員はなぜかロングボードを薦めた。
身長160cm弱の華子はその長い板を見上げこれでは持ち運びすらままならないと思い店員の薦めを却下した。
まだボードすら持っていない高校生の華子がどうしてもショートボードに乗りたいというのを聞いた店員は、
女の子には難しくおそらく挫折するだろうと懇々と説いたがそれでも華子は頑として譲らなかった。何軒かサーフ
ショップを回ったがやはりどこでも似たようなことを言われた。
しかしある日、量販店とは違う一軒の小さなサーフショップを偶然見つけたところから話は急展開した。
「ショートやりたいの?そう、じゃあオーダーしちゃいなよ」
その店長は華子の話を聞くと言った。高校生だとも言うと、どうやって海まで行くのか?サーファーの
知り合いはいるのか?何かスポーツをやっていたか?など、今まで聞かれなかったことばかりを質問された。
華子は道具を揃えたあとのことまで考えていなかったので何のツテもないと言った。
「そう。じゃあ、海には僕が行くときに便乗すればいいし、一緒に行ってもいいっていう知り合いも紹介してあげるよ」
支払いはボードが仕上がってからでいいと言われたので、二回目にその店に訪れた華子はボードをオーダーした。
そして季節は夏から秋に移り変わり冬の訪れを告げる木枯らしが吹き始めた頃、サーファーガール華子が誕生した。

20 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 00:58:23

太郎のいたその家は高台にある華子のアパートから海へと続く坂道の途中にあった。
入り口には大きな門があり、2台分の駐車スペースの奥にぽつんと太郎の犬小屋が置かれていた。
クリーム色をしたタイル張りの家と合わせるかのように太郎の犬小屋も似たような色で塗られていた。
初めてその家の前を通ったとき華子が目を奪われたのは雑誌に出てくるような外観や駐車場に
止まっていた高級車ではなく、庭の隅に設置されていた屋外シャワーだった。
海から上がったらボードもウェットもすぐ洗えるし夏は最高だろうなと華子は思った。
そして門からその家を眺めているときに死んだように眠っている太郎の存在に気づいたのだった。
それ以来太郎を懐かせようと思った華子は、「太郎」と呼びかけながら海へ持っていくカロリーメイトを
太郎に向かって投げてみることにした。しかし眠っている太郎は何の反応も示さず、海の帰りに再び様子を窺うと
カロリーメイトだけがなくなっていて太郎は相変わらず同じ姿勢で眠っていた。
そんなことを繰り返していたある日、海へ行く途中いつものように太郎にカロリーメイトを与えようと
門から家の中を覗くと華子は自分の目を疑った。いつも寝ているはずの場所に太郎がいなかったのだ。
しばらく辺りをきょろきょろと見回してみるがやはり太郎はどこにもいなかった。
太郎はどこに行ったのだろう?その疑問が頭を占めたまま華子はいつものように海へ向かった。                 
風は緩いオンショアが吹いていたがフェイスにはそれほど影響もなく、
腰から胸くらいのセットがたまに入っていた。
平日の昼間のせいかサーファーも少なくのんびりとした雰囲気が海にも漂っている。
華子はぼんやりと波待ちをしながら消えた太郎のことを考えていた。
なんで太郎はいないんだろう?眠っている太郎の姿しか見たことがない華子にとって
太郎が消えること自体想像がつかないのだ。
何本目かのセットをつかまえ岸近くまで乗り継ぐと海からあがり、ペットボトルとカロリーメイトが
入ったバックを置いた場所まで戻ってきた。

21 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 01:00:13

防波堤に腰掛けてスポーツドリンクを飲みながらカロリーメイトを食べていると
ゆるゆると吹き抜ける風に混じって微かに犬の鳴き声が聞こえた。
そしてほんの数十秒の後、何かの足音が聞こえたと思った次の瞬間背中に触れる誰かの気配に
驚いた華子は小さく悲鳴を上げた。
ふり返ると茶色の毛をした犬が舌を出してハアハアと息を切らしていた。
「太郎!」華子は自分にまとわりつきながら尻尾を振る太郎に叫んでいた。
眠っているところしか見たことがないがそれは間違いなく太郎だった。
「お前どうしたの?なんでここにいるの?」
矢継ぎ早に問いかける華子にはお構いなしに太郎は何かをじっと見つめ尻尾を振り続けていた。
華子はその視線の先に自分が持っているカロリーメイトがあることに気がついた。
「なんだこれが欲しかったんだ」
太郎は華子の食べかけのスティックをペロリと食べてしまうともっとくれとばかりに尻尾を振ってワンとひとつ吠えた。
「ごんめんね太郎。もうカロリーメイトないんだよ」
そう言いながら太郎の頭を撫でていると、ふと人の気配に華子は顔を上げた。
そこには自分と同じ年くらいに見える真っ黒に日焼けした少年が不機嫌そうな顔をして立っていた。
「お前、なんで名前知ってるの?」少年はいきなりそう言うと華子を睨みつけた。
見ず知らずの少年に「お前」と言われたことに腹を立てながら「なんで名前を知ってる?」と
聞かれたことに動揺して華子は口ごもった。まさか自分が勝手につけた名前だなんて
どう説明したらいいのだろうと思ったからだ。
華子が黙っていると少年は苛立ったように再び言った。
「何でお前、俺の名前知ってるんだ?」

22 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 01:11:52

華子はしばらくの間、少年が何を言ってるのか理解できなかった。
そして自分を睨んでいる少年とカロリーメイトをもっとくれとばかりに尻尾を振り続ける
太郎を交互に見比べるとようやくその意味がわかり思わず吹き出してしまった。
「何が可笑しいんだ?」少年がさらに怒ったように華子に言った。
「ふうん、太郎って名前なんだ」
「そうだよ。お前がさっき俺の名前を呼んでたの聞こえたんだ」
「別にあんたの名前を言ったわけじゃないわ。それにお前っていうのやめて」
今度は華子が不機嫌になって少年に答えた。
「この子のことを太郎って呼んだのよ。わたしがこの子につけた名前なの悪い?」
華子は腹が立っていたせいもあり開き直って、太郎を指しながら一気にまくしたてた。
その勢いに怯んだのか少年は困惑した顔で華子を見つめていた。
二人はしばらく無言のまま睨み合うと少年の方から口を開いた。
「と、とにかくこいつは太郎なんて名前じゃないし、勝手に変な名前つけんじゃねーよ」
「変な名前って、あんたの名前と一緒じゃない。確かに変な名前かもね」
華子がそう言うと少年の顔に怒り戻ってくるのがわかった。
少年は何かを言おうとしたが華子はくるっとふり返りボードを脇に抱えてバックを持つと
アパートへと続く坂道をすたすたと上り始めた。
華子は帰る途中、「太郎」と呼ぶ声に少し反応したのはあの少年の名前が「太郎」で
犬の太郎はその呼び名をいつも耳にしていたからではないかと思った。

23 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 01:21:09

それから何回か海に入るうちに同じラインナップに少年の姿を見つけた。
相変わらず華子はクリーム色のタイルの家の前を通るときは「太郎、太郎」と名前を呼んでカロリーメイトを与えていた。
少年と名前の一件で言い合って以来、太郎はその声に反応するようになりフルーツ味のカロリーメイトを
美味しそうに華子の前で食べるようになった。
華子はパドルをしながら少年に近づいた。4、5メートルの距離まで来ると少年も華子に気づいたらしく
気まずい顔をしながら沖を睨んでいた。
「こんにちわ、太郎君」
華子は気さくに声をかけると少年はぎこちない笑顔を作り曖昧に返事を返した。
「この前はいきなり怒ってごめんね」
「でもね太郎君、初対面の女の子に"お前"なんて言うものじゃないわ」
華子は一応謝ってから怒った理由を少年に伝えた。
少年はどうでもいいとばかりに沖をじっと見つめている。
「ねえ、謝ってるんだから何とか言ったら」
「ああ」と少年は返事とも独り言ともつかない声を発すると
次の瞬間ノーズを軽く沈めて素早くパドルの体勢に入り沖へこぎ出した。

24 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 01:22:11

華子はハッと沖に視線を移すと距離はあったがすでに切り立った状態のセットが入っていた。
少年を追いかけて沖へパドルした。波は今にもブレイクしそうだが辛うじてうねりの状態を保っていた。
波のトップがメラメラとオフショアに煽られてバックウォッシュを上げ始める。
間に合わない!なんとかインパクトゾーンを避けドルフィンで波の裏に出るとそこには華子しか残っておらず、
どうやら少年は今のセットをつかまえたようだった。
ふり返り通り過ぎた波を目で追うとボードのノーズが波の上に飛び出してはすぐに消え、
飛沫が大きく空に飛んでいた。華子は高校生の頃訪れたこの海岸で初めて見たサーファーを思い出し
少年のライディングを波の裏から想像した。そして波が終わりに近づくと岸近くで少年がボードと一緒に宙に舞うのが見えた。
華子は次のセットを期待したが波はどうやら今の一本だけだったようだ。仕方なく始めにいたポジションに
戻ると少年が再びパドルアウトしてくる。先程までの不機嫌そうな表情は消え顔には笑みさえ浮かべていた。
「今のよかったね。わたし乗り損なっちゃった」
「海の中でお喋りしてるからいいセットが入っても動きが遅れるんだよ」
華子は一瞬カチンときたが確かに少年の言うとおりだと思い、その日最高の一本を逃したことを後悔した。

25 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 01:28:42

その朝は、夜半に抜けた低気圧の影響でこの海岸にも大きな波を届けてくれるはずだった。
華子はまだ薄暗いうちから起き出し、タンクトップにジーパンを切ったショートパンツを履いて
波のチェックに出かけた。期待と不安が入り交じった気持ちで海岸へと向かう坂を下りていると、
太郎を連れて前を歩いている少年が見えた。
「おはよう、太郎」華子が声をかけると、同時に少年と太郎が振り返った。
華子はいまだに犬の太郎の本当の名前を知らない。
尋ねることもしなかったし少年が華子に太郎の本当の名前を告げることもなかった。
海で時折散歩をしている少年と太郎を見つけることがあり、一緒に浜辺を歩きながら会話をしても
特に不自由を感じることはなかった。
「ねえ今日って波上がってるかな?」少年と太郎に追いつくと華子は尋ねた。
「微妙なとこかな。前線がブロックしてるから届かないかもしれない」
少年の意外な答えを聞くと華子は、そうなんだ…と少し拍子抜けした気分になった。
まだ天気図の読み方がよくわからない華子は単純に波がサイズアップするものだと思い込んでいたからだった。
海に着いて浜から波を見るとやはり少年の言ってた通り海面がざわつく程度の波しか起ってなかった。
華子は少年と太郎の散歩につき合いながら、そろそろこの辺りも波のない日が増える季節になることを聞いた。

26 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 01:36:36

「だから俺もそろそろ行こうと思ってさ。当分華子の顔見なくて済むよ」
少年は波のない海を横目で見ながら呟いた。
「え、どこに行くの?」華子が聞き返すと少年は意味ありげに笑っただけだった。
「内緒」
「なんでよ、気になるでしょう。教えてよ」
「ぬふふ、今度な」
その後、早朝から開いているドックオーケーのカフェテラスでコーヒーを二人で飲みながら、
華子は同じ質問を少年にしたがどこに行こうとしているのか最後まで聞き出すことはできなかった。
翌日、少年の家の前を通るといつものように中を覗き込んだ。太郎は相変わらず眠っていた。
カロリーメイトは持っていなかったのでそのまま通り過ぎようとすると名前を呼ばれて華子は振り返った。
「入ってこいよ」少年が庭の奥から手招きしている。
華子が近づくと少年の手元には新品のボードが置かれていた。
「どうしたのこれ!ニューボードじゃん!」
「ぬふふ、オーダーから上がってきたんだよ」
満面の笑顔で答える少年を見ると、華子は高校生のとき初めてオーダーしたボードがあがってきたときの感動を思い出し
自分も嬉しくてしょうがない気持ちになった。
ふと周りを見回すと新しいボードの他にも2本古いボードが置いてあり、
ほかにも寝袋やテントなど、まるでキャンプにでも行くような道具が散乱していた。
華子は昨日のことを思い出し、再び強い口調で少年にどこかへ行くのかと問いつめた。
少年はしまったという表情をしていたが、華子のあまりの迫力に負けてしぶしぶ口を開いた。
その言葉は華子にとってなんと魅力的な響きを帯びていただろうか。
「サーフトリップ!素敵!」
華子は思わず手を胸の前で合わせ空を見上げていた。

27 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 01:47:18

「バカ!連れてくわけねーじゃん」
華子の様子を見ていた少年は慌てて言った。
すでに夢心地で少年の家の駐車場に止まっている高級車に乗ってトリップするつもりでいる華子は現実に引き戻されて
少年にくってかかった。
「ありえないよ!」
「何がありえねーんだよ。女なんか連れてくわけないだろ!」
「悪いけどこの状況で連れていかないって言うあんたの方がありえないよ!」
「どうでもいいけどさ、お前俺のこと"あんた"っていうのやめてくんねー」
「何それ?なんかムカツク」
「あんただってわたしのこと"お前"って言うじゃん」
「お前さあ、確か初めて会ったとき"お前"って言うなって怒ってたけど
もう初対面じゃねーからいいんじゃないの?何?違うの?訳わかんねーよ!」
二人の会話は本題からどんどん外れて単なる口喧嘩になっていた。
さすがにこの騒ぎに眠っていた太郎も何事かと虚ろな顔で二人を眺めていたが、
しばらくすると安心したような仕草でいつものように体を横たえた。
「お前ら何騒いでるんだ?」
少年と華子の騒ぎを聞きつけたのは太郎だけではなかった。

28 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 01:50:36

睨み合っていた二人はその声のおかげで、金縛りにあっていたような状態からようやく解放されることができた。
「あっ、おじさま、おじゃましてまーす」
少年は華子の変わり身の早さに驚きながらも「別に何でもないよ」と照れくさそうに答えただけだった。
華子は少年の父親と会うのはこれで三度目だった。海から少年と一緒に帰るときには、屋外に設置されているシャワーを
使わせてもらうようになり、そのとき在宅していた少年の父親に紹介されたのだった。屋外にあるシャワーは、今も現役の
サーファーである父親のアイデアだと後になって聞いた。
「別にいいだろ?華子ちゃんも連れてってやれよ」
事の顛末を聞いた父親がそう言うと華子はうんうんとうなずき、少年はぶるんぶるんと顔を振った。
「ただし、これだけは約束してくれるかな?」
初めてのポイントでは絶対無理はしないこと、自分で判断できなければ少年の指示に従うこと、
というのが父親が出した条件だった。海では何が起こっても不思議じゃない。だからいつ生命の危機に晒されるかわからない
という意識を忘れてはいけないと言った。
華子は、絶対守りますと父親に約束すると少年にいつトリップに出るのか尋ねた。
まだ納得できずにいる様子の少年だったがやがて諦めたように言い捨てた。
「今夜出発する。遅れたらおいてくぞ」

29 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 01:54:52

華子はカート付きのバックを引っぱりながら、ニットケースに入れたボードを脇に抱え少年の家に向かった。
少し寝ておけよ、と少年に言われたが、遠足や運動会の前日に興奮して眠れない子供のように華子もまた
眠ることができなかった。
華子にとって初めてのトリップだったので何が必要なのかよくわからず少年に尋ねると
「着替え、洗面用具」とあたりまえの答えしか返ってこなかった。
外国に行くわけでもないので足りないものがあっても何とかなるだろうと、思いついたものをバックに
投げ込み荷造りを終えるとベッドに横になった。
目を閉じてまだ見たこともない波を想像していると眠気は全く訪れずより頭が冴えてしまう。
華子は約束の時間が来るまでベッドで寝返りを繰り返し何度も時計を見ては時間を確認した。
少年の家に着くと、少年はすでに準備を終えたらしく、荷物をかしなよと華子に手を差し出した。
駐車場に並んでいる2台の高級車を見ながら、どっちの車で行くのか少年に尋ねると
こっちにこいと呼ばれシャッターが下りているガレージの前に立った。
少年は華子の荷物を置いてシャッターを上げるとそこにはボロボロのワーゲンバスが止まっていた。
ボディの横に付いているドアを開け荷物を積み込むと少年は運転席に移動してエンジンをかけた。
「え〜これで行くの?」
車にあまり詳しくない華子でも高級車とボロボロのワーゲンバスとの違いはすぐにわかった。
元の色が何色だったのかわからないくらい塗装は剥げかけ、今にも爆発するのではないかと思うような
バタバタバタという聞き慣れないエンジン音が響いていた。ボディに辛うじて「ICHIRO'S FACTORY」と
いうローマ字読めた。
「文句があるなら来なくてもいいんだぜ」
少年が意地悪く笑った。

30 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 02:01:51

「行くよ!行く!車なんて関係ないもんね」とワーゲンバスの助手席に乗り込もうとすると、
エンジンの音で目が覚めたのか太郎が目を輝かせて尻尾を振っていた。
華子は太郎に近寄り思案顔で頭を撫でていると、思いきって運転席の少年に言った。
「ねえ、この子も連れてっちゃ駄目?」
また怒られるかなと思っていた華子だったが、意外にも少年は顎をクイっと動かし早く乗れという
ジェスチャーで華子と太郎を呼んだのだった。
ボディのドアを開けると待っていたとばかりに太郎が素早く乗り込み、助手席に華子が座ると
ワーゲンバスはゆっくりと走り出した。
「何見てるんだ?」
不思議そうに見つめる華子の視線に気づいたのか少年が言った。
「また怒られるかなって思ったのよ」
「ああ、こいつのことか」
少年は後部スペースですでに眠っている太郎をちらっと見た。
「元々、この車は親父が若い頃に乗っていたんだ。
親父はこの車で日本全国いろんな場所へトリップに行ってたらしい。
俺も子供の頃何度か一緒についていったことがあるけど、
そのときからこいつはいつも一緒だった」
数に入っていなかったのは華子の方だと言われ少し複雑な気持ちになった。
しかし車窓から入ってくる心地よい風をうけながらこれから出会う新しい波に想いを馳せていると
そんな気持ちもすぐに消えてしまった。
そして、これから始まる二人と一匹の旅が華子にとって生涯忘れられない夏になることなど
このときにはまだ知る由もなかった。

31 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 02:12:12

<第二章> 「トリップ編」

気づかないうちに眠っていたらしい。意識が覚醒するにつれワーゲンバスのエンジン音が次第に大きく聞こえてきた。
華子はうっすらと目を開けると辺りに視線を巡らせた。どこを走っているのか全く見当もつかなかった。
ふとサイドミラーを見ると背後の空が濃い藍色からわずかにオレンジ色を帯びたグラデーションに染まっていた。
「そろそろ夜が明ける」
華子が起きたことに気づいた少年が声をかけた。
「ごめん、眠っちゃった」
「ああ、別にいいよ。どうせ寝てなかったんだろ?」
「うん。いろいろ想像してたら頭冴えちゃって眠れなかった」
軽く伸びをしながら自分たちがどこにいるのか少年に聞くと、じきに海岸線に出て10km程走れば最初の目的地の
ポイントに到着すると教えられた。
しばらくすると少年の言うとおりワーゲンバスは夜明け間近の海岸線に出た。海はまだ暗く、よく見えなかったが
細く開けた窓から入ってくる風には潮の匂いが混じっていた。
「とりあえず朝飯を食べよう」
しばらく走ると、少年はウィンカーを出して海岸沿いに立つドライブインにワーゲンバスを乗り入れた。
サイドミラーだけを見ながら器用にワーゲンバスを駐車スペースに止めると少年はサイドドアを開けた。
弾けるように太郎が飛び出し辺りを注意深く窺っている。少年は華子に行くぞ、と言うとネオン管の灯った
ハンバーガーショップに歩き出した。
店に入るとカウンターの中で本を読んでいた男が顔上げ、少年を見ると笑顔になり手を差し出した。
「やあ来たな。今年は少し遅かったね」
「うん、新しいボードが上がるのを待ってたんだ」
少年は男と握手を交わしながら「お久しぶりです」と挨拶をしている。
華子は物珍しげに店内をきょろきょろと見回していると知らない間に太郎が店の一番奥にあるテーブルの下に
もぐり込み伏せっていた。

32 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 02:13:51

「ゴローさん、軽く食事がしたいんだけど何かある?」
「ああ、何か作ってやるよ。あとあいつには水だな?」
少年にゴローと呼ばれた男はカウンターに戻るとブリキの皿に水を入れて太郎の前に置いた。
太郎はそれを見るとむっくりと起きあがりペチャペチャと美味しそうに水を飲み始めた。
ゴローは軽く太郎の頭を撫でるとカウンターに戻り食事の準備を始めた。
華子と少年の前にハンバーガーとサラダのプレートが並ぶと、少年が思い出したようにゴローに言った。
「そうだゴローさん、こいつ華子っていうんです」
「はじめまして、こんにちわ。あ、ハンバーガーとっても美味しいです」
華子は食事に夢中になっていたので慌てて口の中のハンバーガーを飲み込んでゴローに挨拶をした。
「そう、それはよかった。でもまさかお前がトリップに彼女を連れて来るとは思わなかったよ」
ゴローが二人を交互に見ながら微笑んだ。
「違います!」「違うよ!」
一瞬の間があったが、ほぼ二人同時に否定するとゴローは「あれ、違うの?」と意外な顔をして聞いた。
「こいつが勝手についてきただけだよ」
「そうなんだ?」
「あら、おじさまの許可はちゃんと取ってるんですよ」
華子は少年の父親との約束を守ることを条件にトリップを許された経緯を話し、
だから勝手についてきたわけではないとゴローに説明した。
少年は不服そうだったが、これから入るポイントのことに話題を変え、華子にはよくわからない地形やカレントなど
最近の状況をいろいろ質問していた。
「そろそろ行こう」
華子と太郎に声をかけ、ゴローに挨拶すると少年は立ち上がった。ゴローとは後で海で落ち合うらしい。
その様子を見ていた太郎がワンとひとつ吠え早く行こうとばかりに尻尾を振っていた。

33 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 02:16:34

ポイントの海岸の前にある小さな駐車場にワーゲンバスを止めて着替えると浜に出た。
その海岸は全長300mにも満たない小さな浜だった。華子がまず目を奪われたのは海の青さだった。いつも入っている
あの海岸とはあきらかに水の透明度が違うのが一目でわかった。そして浜の砂はまるで漂白したように白く、海の青さと
そのコントラストがよりいっそうその海岸を美しく見せていた。
華子は初めての場所に興奮しながら目の前に広がる海を見渡しストレッチを終わらすと海へ入ろうとした。
「待て!」
「なによ?」
「ここに座れ」
まだ海を眺めていた少年が自分の隣りを指して言った。
「早く入ろうよ」
「焦るなよ。お前ここ初めてだろ?いいから来いよ」
華子は素直に少年の横に座ると波質や潮の流れなどの注意点を聞いた。
「ここの波、見た目より速いしパワーがあるからあんまりなめるなよ」
「うん、わかった。じゃあ行こう!」
少年と一緒に沖を目指しパドルアウトしていく。
時折、ふり返ると浜にちょこんとお座りをしている太郎がじっとこちらを見つめていた。

34 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 02:25:06

太陽が昇り真夏を思わせるような陽射しがじりじりと照りつけていた。華子は不機嫌な顔で
波待ちをしている。何に対して腹がたっているのだろう。自分に問いかけてみたがそれは華子自身にも
よくわからなかった。
最初のラウンドでは一度も乗ることができなかった。
一本目の波で酷いパーリングをして嫌というほど巻かれたことが華子に恐怖心をもたらし、
その後の波に対してどうしても突っ込むことができなかったのだ。
少年に一度上がるぞ、と言われ少年がセットをつかまえて岸まで戻るのを恨めしそうに見ながら
華子はボードに俯せになりスープに運ばれた。
二人が上がってくるのをどこかで見つけた太郎が嬉しそうに駆け寄ってきた。
駐車場で太郎に水とドックフードあげて、華子はチーズ味のカロリーメイトを少年と食べながら
海を眺めていた。
「パーリングしたら恐くなって乗れなかったよ」
「そうか」
「うん」
「あのな華子」
少年が華子の顔を見て呼びかけた。
「サーフィンって技術が無ければ波に乗れないけど、技術だけでも波に乗れないんだと思うんだ」
「どういうこと?」
「お前はそれほどサーフィンが上手いわけじゃないけど、初めて会った頃よりもどんどん上達してるし
女にしては根性もある。技術的には乗れない波じゃない」
「うん」
「だけど乗れないんだろ?」
「うん」
「何でだと思う?」
「わかんない。でもいつも乗ってる波と違うからかなあ?」
「考えてみろよ。もともと同じ波なんてひとつもないはずだぜ」
少年に言われてその通りだと思い納得した。

35 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 02:27:33

「いいか?これは分かれ道だ。波に乗って前へ進むのか、波に置いていかれてそこに残るのか、のな。
華子はどっちの道へ行きたいんだ?」
「前へ進みたいよ」
「そうだろうな。でも進んだ先に何があるのか行ってみなければわからない。最高のフェイスが
あるのかもしれないし、最悪のワイプアウトが待ってるかもしれない。でもな華子、それは行った者に
しかわからないことなんだ」
少年が何を言いたいのかすべてわかったわけではなかったが、それが知りたければ乗るしかないのだと
いうことだけは華子にも伝わった。
お前はしばらくここで俺たちが乗るのを見ていろと言われ、ゴローたちと合流した少年は華子を
残して再び沖を目指してパドルアウトしていった。
木陰で太郎と並んで海を見ながら、少年がテイクオフするタイミングを何度も自分に置き換えてイメージした。
「太郎見ててね。じゃあ行ってくるよ」
しばらく海を見ていた華子は太郎の頭を撫でて、海にダイブすると沖を目指してパドリングを始めた。
最初のパーリングの恐怖心は消えてる。大丈夫乗れる。わたしは前へ進むんだ。心でつぶやきながら、
華子は比較的人の少ない場所にポジションを決めるとセットを待った。

36 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 02:28:43

沖から強い陽射しを反射させながらゆっくりとうねりが入ってくるのが見えた。華子はピーク寄りに
移動しながらタイミングを計った。しだいにうねりはどんどん盛り上がりパドルのスピードを最大限にする。
一気にテールが捲り上げられ、まるで逆立ちをしている錯覚にとらわれると水面は垂直に感じられるくらい
急激な斜面に見えた。そのときだった。最初の恐怖心が甦り華子は再び波に置いていかれてしまった。
「やっぱり乗れない。これじゃあ繰り返しだよ」
華子はどうしても拭い去れない恐怖心と戦いながら不機嫌に呟いた。
「どっちの道へ行きたいんだ?」少年の言葉を思い出した。
「絶対乗ってやる。もう置いていかれるのは嫌だよ」
華子は再び強く思うと岸をふり返った。さっきまで座っていた木陰に太郎が小さな点になって見えた。
試しに大きく手を振ってみると太郎はむっくりと起きだしてワンと吠えたように見えたが声は聞こえなかった。
「太郎にはわたしが見えるんだ」
華子は見ててね、と呟くと再びやってきたセット追いかけてパドリングを始めた。
うねりに合わせてパドルのスピードを徐々に加速させていく。しだいにテールに波の力を感じて、
そしてそこから一気にテールが捲り上げられる。「ここだ!」華子は思った。
これが少年の言う分かれ道なのだ。ここで引き返すのか、前へ進むのか。
目の前のフェイスが完全に見えなくなると華子はさらに体勢を低くしてパドルを続けた。
次の瞬間、ボードが推進力を得て走り出すのがわかった。素早く立ち上がると真っ逆さまに落ちるように
ボードはフェイスを滑降し始めた。

37 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 02:33:05

華子はそのスピード感に戸惑ったが、あっという間にボトムまで降りてしまうと反射的にレールを
入れて深いターンをきった。
背後に迫っていた分厚いスープから逃れると目の前には数十メートルは続くフェイスが広がっていた。
まるで夢を見ているようだった。なんてキレイなフェイスなんだろう。
そう思った瞬間時間が止まったように波の細部まで体に感じ取ることができた。
華子は無我夢中でフェイスを走り抜けた。インサイドまで来るとようやく余裕ができ弱いスープに
コースターをかけると脱力したように海面に倒れ込んだ。
再びエントリーしようと沖を振り替えると、少年やゴローたちが大きく手を上げて「やったな」という
ジェスチャーを送っていた。
誰も自分のことなど気にしてないと思っていたのに、ちゃんと見ていてくれたことが華子には嬉しかった。
浜から太郎の声が聞こえた。気がつくと波打ち際で嬉しそうに尻尾を振って吠えている。
華子は沖へは戻らず太郎のもとへ駆け寄った。
「乗れたよ!太郎」
太郎を抱きしめるとハフハフと顔を舐められたが、海水が塩辛かったのかゴホゴホと咳き込んで逆に顔を
背けられてしまった。
「行った者にしかわからない」
少年の言葉が甦った。
華子は経験したことのない掘れた波に恐怖心を覚えたがようやく乗ることができた。その過程を経て
少年の言いたかったことが何だったのかようやくわかった気がした。

38 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 02:46:24

太陽が傾くまでサーフィンを楽しんだ華子と少年はまだ僅かな明るさが残る夕暮れどきの海を見ながら、
ゴローが店の前に設えてくれたテーブルでビールを飲んでいた。
時折、涼しい海風が二人の間を通り抜けていく。アルコールが入ると全身に心地よい疲れが広がり、
華子はなんとも言えない幸福感に包まれていた。
「ねえ、今日はありがとう」
「なんだよ」
「うん、なんとなくね」
「なんだそれ?」
「別にいいでしょう。そんな気分なの」
華子は足元で伏せっている太郎の頭を撫でながら言った。
どこまで行けるのだろう。まだ先は見えなかったが今日のサーフィンでほんの少しだけ前へ進めたと思った。
しばらくするとゴローがパスタやピザなど普段店にはないメニューを運んでくれた。
三人で食事をしながら会話をしていると、少年とゴローが華子の知らないポイントの話を始めた。
「あそこは最近ちょっと雰囲気悪いんだ」
「そうなんだ?」
「うん、最近人が増えてきてローカルがピリピリしてるんだよね」
「じゃあ、やめとこうかな。こいつも一緒だし」
少年は華子を見るとゴローに問いかけた。

39 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 02:47:54

「よっぽどのルール違反をしなければ平気だと思うけど。人が増えると摩擦も生じるからね。
なんとなく余所者をよく思わないって人間どこにでもいるだろ?」
微妙な海岸の向きで、うねりが入りやすくボトムも完全なリーフなので風が合えば最高のブレイクを
堪能できるだけに、最近では人も増えてトラブルが多くなっていると、ゴローは隣町にあるポイントのことを
説明してくれた。
最高のブレイクということだけがインプットされた華子は少年にそのポイントに行きたいと頼んだ。
「そうだな、まあ波次第だろうな。明日様子を見てから決めよう」
今晩はゴローの家に泊めてもらい明日も同じポイントに入ってから、次の場所に移動すると少年は言った。
「次はどこへ行くの?」
華子が聞くと少年はにっこり笑いながら言った。
「南さ」

40 :名無SEA:2006/06/30(金) 10:34:56
キタ━(°∀°)━ !!!!!

「南さ」www

41 :名無SEA:2006/06/30(金) 17:25:28

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肴is
surfergirlhanako and dog is taro

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42 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 19:22:11

「南さ」にツッコミが入るのはこれが初めてというわけではなかったのでストーリーを進行させようと華子は思った。
夜になりゴローの家に行くと華子のために一部屋空けてくれたので、そんな気遣いは必要ないと固辞したが
一応、女の子なんだからとゴローに押し切られてしまった。
華子は好意に甘えることにしておやすみなさいと挨拶をすると部屋に引きあげた。
客間にひいてある布団にごろんと寝転んで目を閉じると自然と昼間の波がフラッシュバックした。
それは半分夢を見ているような心地よい気分で、やがてそれが完全に夢と同化すると華子はゆっくり深い眠りに
落ちていった。
翌朝、華子は胸のあたりに重みを感じて目を覚ました。外はすでに明るく家の中は静まりかえっている。
「ウ〜ワンッ」
太郎が華子の胸のあたりに前足を置いて見下ろしていた。
「太郎、重いよー」と言いながら寝返りをうつと今度は頭を足でつつかれ、たまらず華子はむっくりと起きあがった。
窓を開け放ち深呼吸しながら大きく伸びをした。全身には気怠い疲労感があったが爽快な朝だった。
まだぼんやりした頭で見慣れない風景を眺めていると不意に何かひっかかるものを感じた。
「あー!ワーゲンバスがない!」
華子はダイニングルームに駆け込むと無人のテーブルの上に少年の書き置きが残されているのを見つけた。
「8時には戻る。ドックフードあげといて」
「いやーっ!なんでもっと早く起こしてくれないのよ」
太郎をキッとにらむと、太郎はきょとんとした顔をしてワンとひとつ吠え、早くメシにしてくれと催促している
ようだった。
「わかったわよ。お腹がすいたからわたしを起こしたのね」
太郎にドックフードと水を与えると、華子は洗顔を済ませTシャツとジーパンに着替えた。
時計を見ると7時を少し回ったところだった。今頃少年とゴローはサーフィンを楽しんでいるのだろう。
置いていかれたことに腹が立ったが、時間が経つにつれ何度も揺り起こされた記憶が甦ってきた。
少年は何度か華子を起こしたのだが、最後は諦めてゴローと二人で出かけたのだった。

43 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 19:23:18

キッチンにコーヒーメーカーと挽いた豆を見つけたのでコーヒーを入れるとダイニングに香ばしい匂いが広がった。
コーヒーを飲みながらだんだんと目が覚めてくると、このままぼんやり二人を待っていても仕方がないと思い
ドックフード食べ終わり伏せっている太郎に向かって言った。
「よし、散歩に行こう!」
太郎にリードを付けると、ゴローの店の裏手にある家から出て海沿いの国道をぶらぶらと歩きだした。
陽射しはすでに真夏のような強さだったが、まだ時間も早かったので朝の凛とした空気が残っている。
すでに近くの海岸にはたくさんのサーファーが出ていた。
華子と太郎が日陰を探して砂浜に座り海を眺めていると、ちょうどセットを乗り継いで
インサイドまできたサーファーが上がってくるところだった。
おそらく地元のサーファーと思われる男と目が合ったので、華子が「おはよう」と言うと見慣れない女と犬が
珍しかったのかそのサーファーも挨拶を返して話しかけてきた。
「どっから来たの?」
「今はあそこから」
華子はゴローの店がある方向をさして言った。
「あのハンバーガーショップ?」
「うん、わたしの友だちが知り合いでお世話になってるの」
「そうなんだ。あそこのマスターもサーファーだけど、君もサーフィンするの?」
「うん、今友だちとトリップに来てるんだ。ゴローさんのこと知ってるの?」

44 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 19:24:51

人の良さそうなその男に華子が聞くと、それほど親しいわけではないがこの辺りの人間はだいたい顔見知り
だと言った。
寝坊して置き去りにされて太郎と散歩に出た経緯を話すと男は大きな声で笑い、いつまで滞在してるのかと聞いた。
「今日はまだこの辺でサーフィンして明日には移動するの」
「そう。楽しいトリップになるといいね」
「ありがとう」
男が去ると華子と太郎は再び国道に出て散歩を続けた。しばらく歩いてると背後からクラクションが聞こえ
振り返ると少年とゴローが乗ったワーゲンバスが華子を追い抜いて止まった。
「なんだ散歩してたの?」
少年が運転席から顔を出すと言った。
「もうひどいよ。二人で行っちゃうなんて」
「これでも粘り強く起こしたんだぜ」
「まあ起きないわたしも悪いんだけどさ・・・」
文句は言ったものの太郎との散歩もまんざら悪くなかったので、まあいいやと思いながらワーゲンバスの
後部スペースに乗り込むとそのままゴローの家まで戻った。

45 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 20:08:05

真夏のような陽射しが降りそそいでいた。華子と少年を乗せたワーゲンバスは海沿いの国道を
南下している。
空に所狭しと沸きあがる真っ白な積乱雲を見ながら、数日中には梅雨明け宣言が出るだろうという
少年とゴローの会話を華子は思い出していた。
朝の散歩からゴローの家に戻った華子たちは、朝食を済ませると昼までゆっくりと過ごした。
午後から次のポイントに移動するために荷造りを終えゴローと再会の約束を交わすとワーゲンバスに
乗り込んだ。
「今日はどこか良さそうなところでもう1ラウンドやろう」
少年が言うと、華子は昨夜聞いたリーフポイントに行ってみたいと頼んだ。
「そうだな。それほど遠くないし行くだけ行ってみるか」
午後から風が変わり弱いサイドオンが吹いていたがフェイスにはそれほど影響がなさそうだ。
ゴローのところを出てから約40分程走ると目的のリーフポイントに到着した。
「太郎おいで」
ポイントに着いてサイドドアを開けると華子に呼ばれた太郎がワーゲンバスから飛び降りた。
太陽は少し西に傾きかけていたが陽射しはまだ衰えず、チリチリと肌に射すような痛みを感じながら
華子は眩しさに目を細めた。
また夏がすぐそこまで来ている。訪れたと思うとあっという間に過ぎ去ったいくつもの夏たちを
華子はぼんやりと思い出していた。
太郎を連れて少年と波のチェックに海岸に出た。サイズのほうはあまりなかったが腰から胸サイズの
形の良い波が割れている。少年は何かを考えているようだったがしばらくすると「入るぞ」と言い
ワーゲンバスに戻り着替えを始めた。
「いいか?あたりまえだけど、ここじゃルール違反は厳禁だからな」
海岸に出てストレッチをしていると少年が言った。
「うんわかった。人も少ないし大丈夫だよ」
「そうだな、ただポイントブレイクだから無理すんなよ」
海を見渡しながら少年の説明を聞くと華子は頷いた。メインのピークが海岸の正面に一つあり
7、8人のサーファーが疎らに入っていた。うねりの角度でメインがずれるとその両サイドのミドルが
ブレイクするというサイクルを見て、少年はメインを外してサイドで入ろうと言った。
ミドルポジションで波待ちをして浜を振り返ると太郎が日陰にうずくまりこちらを見ていた。

46 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 20:09:26

華子はメインから外れたうねりを見つけるとピークを追いかけてテイクオフした。形のいい三角波を
アップスでインサイドまで乗り継ぐとプルアウトした。
なんて気持ちの良い波なんだろう。華子は顔がほころぶのを我慢して再びミドルのピークに戻った。
少年も小ぶりの波ながらリッピングを繰り返しスプレーを飛ばしている。今回のトリップでテストする
ためにオーダーしたというボードは調子が良さそうだ。華子は少年のライディングを見て上手いなと
改めて思った。
しばらくするとセットが入らなくなり波待ちする時間が増えてきた。やはりメインを外しているので
波数は少ないのだ。華子は少年と並んで波待ちをしているとメインにいるサーファーから時折鋭い
視線で見られていることに気がついた。
「ねえ、なんか睨まれてるよ」
「そうか?目が合ったらにっこり微笑んでやれよ」
「わかった。そうする」
「馬鹿、冗談だよ。一応さっき軽く挨拶はしたんだけどな」
華子はなぜ睨まれているのかよく理解できずにいると、メインにいたサーファーがミドルまで乗り継いで
プルアウトすると華子たちの方にパドルで近づいてきた。
一瞬、少年が身構えたのがわかったが近づいてきた男が笑っているのを見るとすぐに緊張を解いた。
「やっぱり君かあ。ここで入ってたんだ」
華子は話しかけてきた男が今朝散歩の途中で会ったサーファーだということに気がついた。
「あ、こんにちわ。すごい偶然!」
「ほら浜にいる犬が見えてさ。もしかしたらって思ってね」
男がいうには太郎は印象に残る犬だったらしい。少年に男と会った経緯を話すと互いに挨拶を交わした。
男はシローと名乗ると地元はどちらかというとこのポイントの方が近いのだと言った。
「でも君、上手いね。アウトから見ててもわかるよ」
シローが言うと、少年はまだまだそんなことはないと謙遜した。
「駄目だよ。そんなに誉めると調子に乗るから」
「ったく。おまえが言うなよ」
「そうねえ。確かにサーフィンは上手いけど、男としてまだまだって感じ?」
「そういうおまえはサーフィンも女としてもまだまだジャマイカ?」
二人の様子を見ていたシローは、君たちはいいコンビだねと大笑いをした。

47 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 20:12:47

先に上がるというシローと別れ二人になるとまたしばらく波待ちが続いた。そろそろ上がるか?という
少年にあと少しだけと華子は頼んだ。最初に乗った波の気持ち良さが忘れられずどうしてももう一本
乗りたかったのだ。
そんな華子の願いが通じたのかアウトからセットが入ってくるのが見えた。メインにいるサーファーたちも
一斉に動きだした。ワイド気味のセットでピークがはっきりしなかったがサイドでもブレイクしそうな
サイズで華子も波を追いかけるとテイクオフした。
スピードに乗り一気にフェイスを走り抜けた。パワーゾーンを外した華子は、カットバックして
戻りきれずにもたついているところに「おいどけ!」という怒鳴り声を浴びせられた。
背後からの怒声に驚いてバランスを崩しワイプアウトすると何かが当たった衝撃を感じた。
ボードが体を掠めたようだったが痛みはなかった。海面に上がると男のサーファーが自分のボードを
引き寄せてるのが見え、華子はようやく他のサーファーとぶつかったことに気がついた。
「テメー何やってんだ?」
「すいません」
「すいませんじゃねえよ。邪魔なんだよ。ルールも知らねえなら上がれ!」
華子は男に怒鳴られてもただ謝るしかなかった。
「なあ、あんた今わざと突っ込んだろ?」
気づくと少年がすぐ近くまで来ていた。
「なんだお前は?」
「こいつの連れだけど。確かにもたついてたこいつも悪いけど、そこに突っ込むのはやりすぎだぜ」
「もたついてる女を避けるほど暇じゃねえよ。ケガしなかっただけありがたいと思え」
「ふざけるな!」
今まで口喧嘩を何度もしてきたが少年がこれほど感情を露わにするのを初めて見た。
「なんだやるのか小僧?いいから上がれ」
喧嘩はやめてと言ったが、どうせ上がろうと思っていたところだからちょうどいいだろうと少年は言うと
ケガはないかと華子に聞いた。
「うん、だいじょうぶ。それより喧嘩はしないで」
「心配するな。喧嘩なんてしないから」

48 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 20:55:36

華子と少年が浜に上がると男はすでに仁王立ちになり二人を睨みつけていた。
華子の不安な表情に気づいたのか、浜に上がった二人を見つけた太郎が嬉しそうに尻尾を振っていたが
少年の視線の先にいる男を見ると小さく唸り声をあげた。
少年は男に向かって歩き出したが、男との距離がなくなりそのまま素通りすると駐車場へ向かった。
「おい!待て」
怒りで歪んだ男の顔を振り返ると少年が言った。
「俺たち上がるからさ、文句があるなら駐車場来いよ」
「ざけんじゃねえぞ小僧!」
男が太郎に掴みかかろうとした瞬間、華子の視界の隅をもの凄いスピードで走り抜ける太郎が見えた。
太郎の吠える声に驚いた男の動きが止まった。太郎は男に牙を剥きだし低い声で唸り威嚇している。
少年は太郎と華子を交互に見ると、行くぞと言い再び歩き出した。華子は小走りで前を歩く少年に
追いつくと少年の手を握った。少年はにっこり笑うと心配するなと言い軽く華子の手を握り返した。
華子は恐る恐る後ろを振り返ると太郎がまだ男を威嚇しておりその迫力で男は動けずにいた。
「太郎おいで」
声をかけると太郎は男を警戒しながら威嚇を解いて華子の足元に駆け寄った。
駐車場に戻りワーゲンバスにボードを積み込んでいると先程の男が華子たちを見つけ近づいてきた。
男に気づいた太郎がまた小さく唸り声を上げると、少年はストップ、ステイと太郎をなだめた。
太郎が大人しくしているのを見た男は、自分の板を差し出しながら言った。
「おい、板壊れちまったよ。どうしてくれる?」
「その程度なら自分で直せばいいだろ」
男のボードのレールに僅かなクラックが入っているのを見た少年は何事もなかったように言った。
「それにあの状況なら充分避けられたはずだ。それをしなかったあんたにも問題がある。たまたま
こいつがケガをしなかったからよかったが、"どうしてくれる?"じゃ済まないのはこっちの方だぜ」
少年は華子見ながら男に言った。華子は少年の怒りがまたぶり返しているのがわかり不安を感じて
少年と男に割って入った。

49 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 20:57:01

「板壊しちゃってごめんなさい。わたしまだ下手だから気がつかなくて・・・」
「なあ華子、こいつの板が壊れてるってことはおまえの板もたぶんいってるぞ」
少年は割って入った華子にもう謝る必要はないというと逆に男を睨みつけた。
「まったくいちいちムカツク小僧だな。まあいいや修理代置いてけ。それでチャラにしてやる」
にやついた顔で金を要求する男を見た少年は、こいつは常習犯だと確信した。
「あんた馬鹿か?この状況で金なんか出すわけないだろ。こんなセコイ小遣い稼ぎはやめて
地道にバイトでもしたほうがいいぜ。サーファーがあんたみたいなクズばかりだと思われるのも困りもんだからな」
男の表情が凍りつき見る見る怒りで赤くなると少年に殴りかかってきた。男の拳が少年の顔を殴打した。
殴られた少年は尻餅をついて切れた口元を手で拭いながら、今にも男に飛びかかろうとしている太郎に
ステイ!と強い口調で押さえた。
烈火のごとく吠える太郎に怯み男はそれ以上手が出せないでいる。華子は少年を庇うようにしゃがみこむと
男を見上げて睨みつけた。
「おい、何をしてる!」
華子たちの後ろから違う男の声がした。振り返ると先程別れたシローが立っていた。
シローは少年に近づくと傷の具合を見て大丈夫か?と言い、相手の男に向かい合うと事の成り行きを聞いた。
「何を揉めてるんだ?この二人は俺の知り合いだ。
この前、ビジターとの暴力沙汰は御法度だと言わなかったか?」
「先輩、俺だってこんな小僧殴りたかないですよ。こいつは口で言ってもわからないやつみたいなんでね」
シローと男は顔見知りらしいが、友好的な関係ではないと華子はすぐに感じた。
「シローさん、わたしがその人の邪魔をしてぶつかっちゃったんです」
華子はとにかくこの場を早く収めなければならないと思った。
「そうなの?それでなぜ彼が殴られているんだい?」
「あの・・・その人がボードの修理代出せって。そしたら逆に彼が怒って・・・」
シローは全て合点がいったという顔になり、ここは任せて君たちはもう行きなさいと言った。
「先輩、勝手に仕切るのカンベンしてよ。実際被害被ってるの俺なんだからさ」
男はシローの後輩らしいが、そのぞんざいな口振りにはあきらかに敵意が込められている。

50 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 20:58:02

気がつくと騒ぎを聞きつけたローカルらしいサーファーたちが集まり始めていた。
華子は遠巻きにこちらを窺うサーファーたちの刺すような視線を受けながら、みんな男側の人間だとわかり
絶望的な気分になった。
どのくらいの時間が過ぎたのだろうか。
頼みのシローと男の睨み合いが続くなか、ふいに空気が変わるのがわかった。
「うぉい、何やってんだおめーら」
「あ、サブローさん、ちわっす」
二人を取り巻いていた男たちが口々に挨拶をしている。シローもおずおずと挨拶すると、
サブローと呼ばれた男は華子から少年へと鋭い視線を巡らせた。
見るからに地元のボスという風貌のサブローに睨まれた華子は、シローも頭が上がらない存在だと
いうことがわかりさらに悪い状況に陥ったことを知った。
するとサブローの登場でシローと睨み合っていた男の顔がぱっと明るくなり、子供が親の庇護を
求めるかのように揉め事の経緯を自分の都合のいいように嘘も織り交ぜて説明して聞かせた。
華子はその勝手な言い分を聞いて反論しようとすると、そっとシローに手を添えられ止められた。
サブローはあまり興味なさそうに話を聞きながらワーゲンバスに目を止めると車の周りを歩き始めた。
「サブローさん、そういうわけなんっすよ。サブローさんも普段から余所者はきっちり教育しろって
言ってるじゃないですか?」
「うぉい」
変な唸り声を出しワーゲンバスを一周したサブローは華子と少年の前に来ると、伏せっている太郎を
見つけ頭を撫でながらぶつぶつと小さな声で呟いた。
「久しぶりだなワン公」
驚いたことに尻尾を振っている。太郎はこの男を知っているのだろうか?
そんな疑問を抱いているとサブローは少年の顎を掴み殴られた傷痕を見つけると男を振り返り
お前がやったのかと聞いた。
「いや、その小僧が生意気でいうこと聞かなかったもんでつい・・・」
サブローに睨まれた男の語尾は消え入るように小さくなった。

51 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/06/30(金) 21:00:41

「俺も暴力沙汰は起こすなと言ったはずだ。まあいい。おめーの板はハチローのショップにでも
放り込んどけ。それでいいな?」
シローも頭が上がらないサブローを味方につけたと思っていた男は、不満そうに何か言おうとしたが、
男が口を開く前に騒ぎを聞きつけた仲間らしい男がいきなりその男の頭を殴りつけた。
「ぐは!」
男はうずくまり頭を押さえて動けないでいる。
「サブローさん、すいませんでした」
「おお、ハチローか。こいつの板おめーのとこでちっと直してやれ」
「わかりました。俺もこいつには騒ぎを起こすなって言ってたんですが」
ハチローは仲間に男を連れていくように言った。シローにも詫びているようで、華子と少年には
すまなかったね、と謝った。
「君の板も壊れてるんじゃない?だったらうちのショップで見てあげるよ」
ハチローは華子に言うと、少年が傷にはなったがリペアするほどではないとハチローに礼を言った。
事態は収拾したようだが、華子には何が起こったのかよくわからず太郎の頭を撫でているサブローを見た。
サブローは太郎から離れると凄みのある顔で笑うと少年に向かって言った。
「おい坊主、親父さん・・・イチローさんは元気かい?」

52 :名無SEA:2006/06/30(金) 22:49:55
ハチロー、シローサブロー、イチロー・・・○○ローがスキネw

53 :名無SEA:2006/06/30(金) 23:00:48
(*´Д`)続きカモン

54 :名無SEA:2006/06/30(金) 23:36:30
おそ松くん
で、いいぢゃん( ̄▽ ̄;)一郎、次郎、三郎・・・

55 :名無SEA:2006/07/01(土) 16:36:21
ジロー、ロクロー、シチロー、クロー、ジュウロウ、トイチロー、トジロー
トサブロー、トシロー、トゴロー、トロクロー、トシチロー、トハチロー、
トクロー、ニトロー、ニトイチロー・・・疲れた

56 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/07/03(月) 21:02:45

「ねえ大丈夫?痛くない?」
華子は心配そうに少年の顔を覗き込んだ。少年は大したことはないと言ったが殴られた口元に
触ると顔を歪めた。
サブローやシローたちローカルも帰り駐車場には華子と少年が乗るワーゲンバスが一台停まって
いるだけだった。太郎はお座りをしてじっと海を見つめていた。
昼間の灼けるような太陽は消えかけ辺りは真っ赤に染まりながら、夜の訪れを告げる藍色の
グラデーションが徐々に押し寄せていた。
昼間の揉め事で、サブローに父親のことを聞かれた少年は一瞬何を言われているのかわからず
ただ頷くことしかできなかったが、その意味を理解すると親父のことを知っているのかと尋ねた。
「このバス、まだ生きてたんだな」
サブローは少年の質問には答えず、ワーゲンバスのボディにペイントされた「ICHIRO'S FACTORY」
という消えかけたローマ字を懐かしそうに眺めた。
「これを見たときもしやと思ってな。おまけにあのワン公だ。それにお前はイチローさんによく似ている」
サブローは、お前の親父には恩があるとだけ言った。
そしてまたここでサーフィンをするときは自分に連絡をよこせと。
「次は俺と一緒に波乗りをしよう」
サブローはイチローにどんな恩があるのだろうか。華子は帰ったら少年の父に聞いてみようと思ったが、
イチローもまたその理由は話してはくれないような気がした。
しだいに暮れていく海を見ながら今夜はどこに泊まるのか少年に聞いた。ここからそれほど遠くない
場所にモーターキャンプ場があり、今夜はそこでキャンプを張ると少年は言った。

57 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/07/03(月) 21:04:43

オートキャンプ場に着くとまだシーズン前のためか数組のキャンパーがいるだけだった。
華子と少年はキャンプ場の簡易シャワーを浴びると夕食のメニューで喧嘩することになった。
少年がクーラーボックスからパックのライスとレトルトカレーを取り出すのを見た華子は、
キャンプ場と聞いてすっかりバーベキューでもするものだと思い込んでいたからだった。
「あのな、いいか?俺たちはサーフトリップに来てるんだ。キャンプに来たわけじゃないんだぜ」
「でもせっかくキャンプ場にいるのに。お肉食べたいお」
「っていうか肉なんて積んでないし。肉食いたいなら明日どっかのファミレスでも行けばいいだろ?」
「そうじゃなくて。キャンプ場で食べたいんだもん」
華子たちのやり取りを聞いていたのか隣りにいたグループの女が笑いを堪えながら二人に近づいてきた。
「ねえ、よかったらこっちで一緒にどう?それからそのワンちゃんも」
「えーいいんですか?」
華子は少年が何かをいう前に腕を引っぱり太郎にも手招きすると隣のグループに合流した。
少年もすいませんと言いながらバーベキューの輪に加わった。
食事を終えるとキャンプ場の中心にある焚き火のスペースにそれぞれのグループが集まっていた。
華子と少年もそのスペースに座り、一緒にバーベキューをしたグループに混ざり酒を飲んでいた。
「ふうん、二人でサーフィン旅行か。なんか素敵じゃない」
華子たちに声をかけた女が言った。
「ところであなた、その顔どうしたの?」
すっかり紫色の痣に変わっている少年の顔を見て女が聞くと少年はちょっとサーフィンでやっちゃって、
と誤魔化した。
時間が経つにつれ焚き火の周りには思い思いの時間が流れていた。どこかのグループの男がギターを
持ち出しレゲエの旋律を奏でている。
酔っているのか少年は気持ち良さそうにリズムを取っていたかと思うとふいに華子を抱き寄せた。
華子はどきっとして少年を見ると、少年はおかまいなしに華子の背中にまわした指でリズムを取り
続けていた。華子は少年に体を預けると横で眠っている太郎の頭をそっと撫でた。

58 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/07/03(月) 21:06:08

焚き火がしだいに小さくなり、今夜の宴が終わりを告げるとそれぞれのグループが火の後片付けを始めた。
華子も片付けに参加していると、少年は太郎を連れて先に行ってると言うとワーゲンバスに引きあげた。
すべて片付けが終わってしまうとキャンプ場はさっきまでいた場所とは思えないほど違う世界に変わった
ように思えた。
それはまるで訪れては去っていく夏のようないい知れない寂しさに似ていた。
華子は不意にどうしようもない孤独に包まれ、さっきまで少年に肩を抱かれていた温もりを思い出した。
しんっと暗く静まり帰ったグランドを一人歩きワーゲンバスに戻ると少年はすでにバスの後部スペースで
寝袋にくるまっている。太郎もキャンピングシートに寝そべり眠っていた。
開け放されたドアからバスに乗り込み、少年の横に寝袋をひいてもよほど疲れているのかまったく
起きる気配がなかった。
華子は横から少年の寝顔を覗き込むと口の横にできた紫色の痣に触れてみた。まだ少し熱を持っている
ようだ。
華子はその傷跡にそっと唇を当てた。少年の熱が華子の唇にも伝わってくる。
そして顔を少し逸らすと熱を帯びた口元とは対照的にひんやりとした少年の唇に触れた。
ほんの数秒の間少年とキスを交わすと顔を離した。華子は少年を見つめ、おやすみと小さく呟くと
寝袋にくるまった。
目を閉じると漆黒の闇が頭の中に流れ込んできた。華子はすぐに眠りの淵へとたどり着き
やがて深くゆっくりと落ちていくのがわかった。

59 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/07/05(水) 11:23:04
前スレではココまで読んだ。
新作君乙!

60 :名無SEA:2006/07/05(水) 20:50:03
>>59
次回作は前作以上に期待していいんすね?
と、プレッシャーをかけてみる。

61 :名無SEA:2006/07/05(水) 23:41:18
>>55











ゴクロー( ̄▽ ̄;)!

62 :名無SEA:2006/07/05(水) 23:48:47
ハゲ

63 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/07/06(木) 04:22:18

寝返りをうつと隣で寝ていたはずの少年が消えていることに気づいた。夜はすでに明けており
外にはうっすらとミルク色の靄がかかっていた。
華子は少年の姿を探すと太郎もいないことに気づいた。どこか散歩に出かけたのだろうか。
外に降り立つとひんやりとした空気に一瞬身震いしてパーカーを羽織ると辺りを見回した。
昨日はこのキャンプ場に着いたのが夜だったので気がつかなかったが、周辺には低い山が連なり
高度も多少はありそうだった。
キャンプ場の奥まで歩くと柵が作られておりその先には鬱蒼とした森が広がっていた。
そして木々の間からは朝日を浴びた海が遠くに見渡せた。
「ワンッ」
海を眺めていると太郎が駆け寄って華子にじゃれついた。
「太郎、おはよう。ご主人はどこにいるの?」
太郎の頭を撫でながら聞くと朝靄の中から少年が姿をあらわした。
「おはよう。よく眠れたか?」
「うん。わたし寝袋で寝たの初めてだけど割と快適だったよ」
「そうか。それより美味い水を汲んできた。朝飯にしよう」
森の先には清流があるらしい。少年は水が入ったポリタンクを持ち上げ華子に言った。
キャンプ場の炊事場に着くと、少年は飯ごうで湯を沸かしコーヒーを入れて、レタスにトマト、
ハム、チーズを豪快に挟んだサンドイッチを手早く作った。華子はその間に太郎にドックフードと
汲んできた水を与えた。
「ねえ、傷の具合はどう?」
食事を済ませ二杯目のコーヒーを飲みながら、痣が残る少年の顔を見ると華子は言った。
「もう痛みはほとんどないから大丈夫だよ」
「そう、よかった。わたしのせいでゴメンね」
「別に華子のせいじゃないよ。どちらにしろあの男は俺たちに絡む機会を狙ってたんだから」
「うん」

64 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/07/06(木) 04:23:25

華子は頷くと会話を変えるように聞いた。
「ねえ、これからわたしたちはどこへ向かうの?」
「もしかして昨日のことで懲りた?」
少し不安そうな華子を見ると逆に少年が質問した。
「そういうわけじゃないけど。少しだけ恐いって思っただけだよ」
「そうか、でも安心しろ。昨日のポイントは特殊な方だから。
これから俺たちが向かうのは海岸線が何百キロも続くオープンな場所がほとんどだよ」
トリップでは良くも悪くもいろんなことが起こるから時にはナーバスになっても仕方がない。
でも俺たちはそういう旅をしてるんだから、どうしても無理だというなら今から帰ってもいいと少年は言った。
華子はトリップに出てから少年と太郎との過ごした時間を思い出してみた。すでに華子にとっては
かけがえのない記憶として脳裡に焼きついている。そしてその記憶の中からふと少年の言葉を思い出した。
「行った者にしかわからない」
そうなんだ、わたしは前に進みたい。その結果何が待ち受けていてもしても。
華子は自らの意志を確認すると少年に向かって行った。
「行くよ。前に進もう」

65 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/07/06(木) 04:40:40
皆さま、こんばんわ。
前スレからおつき合いいただきありがとうございます。新作野郎です。
そろそろ終章に入ろうかと思いますのでもう少しおつき合いください。
進行は遅いのですが実は最近いつもこのストーリーばかり考えてます。

>>リリーさん
いつもありがとうございます。


66 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/07/06(木) 04:42:13
あー!「言った」が「行った」になっているorz

67 :名無SEA:2006/07/06(木) 20:10:07
ok!
lets go!




by real and slow and fan

68 :名無SEA:2006/07/06(木) 21:50:54
最終章に期待!行った者にしかわからない世界に連れてイケ!

69 :名無SEA:2006/07/08(土) 23:13:05
なるほど。行った者しか分からないか・・・。
いい響きだね!どんな世界が待っているのか、感情をそそられるね。
この後の展開も、明日の波同様に楽しみにするよw

70 :名無SEA:2006/07/09(日) 20:10:07

natural is spiritual
it`s
so
beutiful
and
naturalmusic
so!
wavesound



no music no surf


71 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/07/10(月) 11:12:28
>>65 いやいや、こちらこそ楽しみに読ませてもらっています。ありがとう。
「行った者にしかわからない」 ですか。いいフレーズですね。
完結するまで黙ってROMってようとしましたが、カキコしちゃってすいませんw

つか、今度書いている話は「潮のエッセンス」つーのが少なくて・・・・・
マズイかな〜?w

終章かんばって下さい。マッタリ読みます。


72 :名無SEA:2006/07/12(水) 21:49:13
早く次は〜

73 :名無SEA:2006/07/15(土) 21:17:17
thanks by age


74 :名無SEA:2006/07/18(火) 22:10:29
保守

75 :名無SEA:2006/07/19(水) 02:24:33

<第三章> 「別離編」

新しいポイントに移動してからすでに一週間が過ぎていた。
そこは長い海岸線にポイントが点在しており、毎日サーフィンをしながら少しずつ移動を繰り返した。
地元の海からどんどん離れ華子はなんと遠くまで来たものだろうと思った。そしてトリップに出てから
随分長い時間が過ぎたような気がした。
三日前に気象庁から梅雨明け宣言が出されたが、その途端天気は悪くなりはっきりしない空模様が数日
続いており波の方もいまひとつサイズが上がらず、風が入るとすぐにジャンクなコンディションになった。
今朝も海岸前の駐車場でワーゲンバスの中で目覚めると雨の降っている音が聞こえた。
時計を見ると午前五時になるところだった。少年はすでに海に向ったらしく、いつ入れ替わったのか隣りには
太郎が眠っていた。
華子は起きあがり傘を差して外に降り立つと、強い風と一緒に雨が吹きつけすぐに足元がびしょ濡れになった。
昨日から吹き続けている風はいまだに止まない。海に向かって歩き出すと太郎もワーゲンバスから飛び降りて
ついてくる。欠伸をしながら前足を突っ張って伸びをすると華子に追いつくように走り寄った。
空は鉛色の雲に覆われ辺りはまだ少し薄暗かったが、泡だつ海の白さだけが際だって見えた。
アウトを見ると辛うじて乗れそうなブレイクがいくつかあったがそれもすぐに崩れあっという間にスープに変わった。
太郎と並んで少年の姿を探したが、華子には数人しか入っていないサーファー中から少年を見分ける
ことができなかった。しかし太郎には少年が見えているのかオンショアが吹きつける海に向かって数回吠えた。
風と波が打ち寄せる音しか聞こえなかった。華子は一瞬、目前に広がる荒れた海が世界のすべてのように感じた。
太郎を傘の中に入れてしゃがみ込むとしばらく海を眺めていた。
これじゃあアウトへ出られない。それにあの速いブレイクでは乗ることはできないだろうと華子は思った。
もう少し風が弱くなったら入ろう。そう決めると太郎を連れて駐車場に引き返しワーゲンバスに戻った。

76 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/07/19(水) 02:25:54

太郎をタオルで拭いてやりワーゲンバスに乗せると、振り返って再び海を見たがやはり少年の姿は見えなかった。
気がつくといつの間にか眠ってしまったらしい。太郎が動き回り踏みつけられて目が覚めた。
「もう踏まないでよ太郎ぉ〜」
華子はむっくり起き上がりワーゲンバスのドアを開けると太郎が外へ飛び出して行った。
辺りを見回すと雨はすでに止んでおりうっすらと太陽が出ている。
太郎の走っていく先を視線で追うと少年が海から上がり砂浜を歩いてくるところだった。
華子はクーラーボックスからスポーツドリンクを取り出すとタオルと一緒に少年に渡した。
少年はスポーツドリンクを一気に半分程飲み干すとタオルで頭をごしごしと拭いた。
「ねえ、こんな波で乗れるの?」
少年が人心地ついたのを見ると華子は聞いた。
「うーん、あんまり乗れないな」
「そうだよね。わたし、出られそうもなかったから入らなかった」
「それが正解だな。でもこんな波でもそれなりに練習になるんだ」
「どんな練習?」
「根性つける練習、とか」
「ほんとに?」
「嘘」
少年は真剣に聞く華子を見ると大笑いしたが、華子が怒り出す気配を察知して慌ててつけ加えた。
「でも根性つけるというのはまんざら嘘じゃない。海は良い波のときの方が少ないからな」
波が良いときに乗れるのはある意味当然で、上手いサーファーほどコンディションが悪くてもそれなりに
乗りこなすものだと少年は言った。

77 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/07/19(水) 02:27:11

「今日は夕方から風が変わる予報が出てるからそれまで町に出よう」
飲料水や食料がそろそろ無くなりかけていたので買い物も兼ねて近くの町まで行くことになった。
太郎にドックフードを与えると、近くのファミリーレストランに入りモーニングセットを頼むと町の商店が
営業を始めそうな時間まで粘ることにした。
窓際のボックス席に座りコーヒーを飲んでいると駐車場のワーゲンバスに繋がれた太郎が大人しくお座りを
しているのが見えた。
「ねえ、やっぱり将来はプロを目指すの?」
華子はモーニングセットが運ばれて無言で食べている少年に聞いた。それはトリップに出てからサーフィンに
対する少年の真剣さを目の当たりにして思ったことだった。
「そうだなあ、以前はそう思ってたけど親父に言われたんだ」
「なんて?」
「二番目に好きなことを仕事にしろって」
「一番目じゃ駄目ってこと?」
「うん、親父は昔シェーパーだったんだけど、事情はよく知らないが嫌気が差して辞めたらしい。
それで今は小さな出版社を経営している。サーフィンとは何の関係もない本を作ってるんだ」
「一番好きなことを仕事にすると純粋に楽しめないってことなのかもね」
華子はなんとなく少年の父親が言いたいことがわかる気がした。
「でもそれは俺の場合だからお前は好きにしろって親父は言っているけどね」
「じゃあまだ決めてるわけじゃないんだ?」
「プロは無理かもしれないけど、大学を出たらやっぱりサーフィンに近いところで生きていきたいとは思ってる」
少年は迷いのない眼差しで華子を見ると答えた。そして、ふと常々疑問に思っていたことを口にした。
「なあ華子、今まで聞いたことなかったけどお前って何してる人間なんだ?」

78 :名無SEA:2006/07/19(水) 20:43:16
what are you job?


no!
I`m not get a job!
because
let`s enjoy surf

79 :名無SEA:2006/07/25(火) 15:14:55
やば!

80 :名無SEA:2006/07/27(木) 22:07:29
華子は・・・キャバ嬢

81 :小林。。 ◆fHUDY9dFJs :2006/07/28(金) 11:03:47
かってに2なんか立てやがってぇーww
ただじゃぁーすまんぞ!

82 :名無SEA:2006/07/28(金) 15:26:06
あげんなゴラァー
しにてぇかかす

83 :小林。。 ◆fHUDY9dFJs :2006/07/28(金) 19:37:02

テメー誰や??? おお??

誰の許可でやってんだ???

なぁーにが新作野朗だ?? 糞め!

84 :名無SEA:2006/07/28(金) 19:43:38
何怒ってんだ?
許可が必要なのか?
教えてくれ

85 :名無SEA:2006/07/28(金) 21:57:40
小林。。って誰よ、テメーは誰の許可もらってンのか!このタコ!

海で会ったら沈めて締めちまうぞ!この糞野郎!テメーは来るんじゃねーぞ!

プッ殺すぞ!

86 :名無SEA:2006/07/28(金) 22:02:46
仕事をいかにサボるかと言う事です。

87 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/07/29(土) 08:32:21

「それ仕事が何かってこと?」
華子は少し考えると少年に聞き返した。
「まあそういうことかな」
「キャバ嬢」
「・・・マジかよ?」
「そんなわけないじゃん」
華子は少年が驚くのを見て笑い声を上げながら否定したが、すぐに表情が消えると素っ気なく言った。
「今は何もしてないよ」
「何も?」
「うん」
少年は話の続きを待ったが、華子はそれ以上何も言うつもりがないようだった。
「別に話したくなかったらいいけど、じゃあ以前は?」
華子は一瞬躊躇ったが視線を上げて少年を見た。
「絵の勉強。今でも一応学生だけどね」
少年はそれ以上聞くことが思いつかず黙っていると華子のほうから口を開いた。
「なんかね、いろいろあって何もかも嫌になっちゃったの。ほんとは辞めようと思ったけど
周りがとりあえず休学にしろっていうから籍だけ残してあるんだ」
「そうか」
少年は華子が美大生だったという意外な素性に少し驚いたが、まったく自分の知らない世界だったので
ただ相槌を打つことしかできなかった。華子に一体何があったのだろうか。ほんの一瞬考えてみたが
そんなことはわかるはずもなく、本人が話さないのなら聞く必要もないと思った。
「そろそろ町に出てみるか」
話を打ち切るように少年は言った。
外に出ると雨雲は完全に抜けて真っ青な空が広がっていた。太郎がワーゲンバスの影にうずくまっていたが
華子と少年の姿を見つけるとむっくりと起きあがり尻尾を振った。
少年は地図を広げて今いる場所を確認するとこの辺りかなと、これから向かう場所を指さして華子に地図を
渡しワーゲンバスのエンジンをかけた。

88 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/07/29(土) 08:33:46

海沿いのファミリーレストランから市街地へ向けて走り出したはずだが、いつまでたっても田んぼと工場の
四角い建物ばかりが見える退屈な風景が続いた。高い建造物がまったくなかったので、いつの間にか沸き上
がった積乱雲が道路の真正面に見える。陽射しは急に強くなりアスファルトから立ち上った陽炎が遠くの
景色をゆらゆらと歪ませていた。
「ねえ、本当にこっちであってる?」
華子は地図を睨みながら少年に聞いた。
「なんだよナビは華子なんだから。こっちでいいんだろ?」
「えーわかんないよ」
「しょうがねーな。ちょっと地図かしてみ」
少年は正面を向きながら手を差し出すと地図を受け取り、器用にチラチラと見ると再び華子に地図を
放り返した。
「大丈夫、あってるよ」
しばらく走ると次第に住宅が増え、ぽつりぽつりと商店が姿を現わし商業地らしい場所に近づいて
いるのがわかった。
「おっ、あれだな」
少年はテレビCMで流れている大型ショッピングセンターの看板を見つけると言った。
「あそこで何でも揃いそうだな」
「駄目よ」
即座に華子は否定した。
「何で駄目なんだよ?」
「面白くないもん」
「はあ?」
「だって、せっかく知らない場所に来てるのにあんなところで買い物しても面白くないでしょう?」
ショッピングセンターがあるということは必ず商店街もあるはずだからそこで買い物をしようと華子は言った。
少年は文句を言いながらもしばらく周辺をワーゲンバスで走り、昔ながらの商店街を見つけるとワーゲンバスを停めた。
華子はワーゲンバスから太郎を降ろすとリードをつけて少年と一緒に歩き始めた。

89 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/07/29(土) 08:35:39

「なんかタイムスリップしたみたいだな」
八メートル道路に面して立ち並ぶ古い商店を見渡すと少年が言った。
「でもなんか新鮮じゃない?」
「まあな」
歩道の上には小さなアーケードがあり町名のあとに「銀座」という文字が記されていた。
少年はその看板を見ると苦笑した。
まだ時間が早いせいなのか人の姿は全く見えず、それはまるで映画のセットのような不思議な印象を与えた。
「とりあえず一通り見てみようよ」
華子は太郎のリード引きながら嬉しそうに先を歩いた。
どこの店も開いているのだが店員の姿すら見えなかった。華子は昔読んだSF小説を思い出した。
それは宇宙人にさらわれて町の人間がみんな同時に消えてしまうというストーリーで、
少し不安になったが店内に入り声をかけると店主が出てきたので馬鹿らしいとは思いながらもほっとした気分になった。
それぞれの商店で買い物をすると、観光地でもない小さな町で犬を連れた若いカップルが珍しいのか
必ずどこから来たのかと聞かれた。華子が場所を言うと、
“ほぅそら遠くから来たねえ”と大体似たような反応が返ってきた。
「ねえあのお店行こうよ」
華子が指さした先には一軒の雑貨屋らしき店があった。店頭には麦わら帽子がいくつも吊り下がっている。
華子は麦わら帽子をひとつ手に取ると少年の頭に乗せた。
「ふふ、なんか似合うよ」
「そうか?まあ俺は何でも似合うけどな」
少年はウインドウに映る姿を見ながらまんざらでもないように言った。
「うん、ほんとに似合うよ」
「なんだよ、突っ込めよ」
少年は逆に照れながら言うと、視線を移し女物の少し小さめの麦わら帽子を見つけると華子の頭にポンと乗せた。
「華子もなかなか似合うぜ」
「えー麦わら帽子が似合うって言われてもなんか嬉しくない」
華子は不満そうに言った。
しかし頭の小さいショートカットの華子には麦わら帽子がよく似合っていると少年は思った。
そんな二人のやりとりをお座りをしている太郎が静かに見つめていた。

90 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2006/07/29(土) 08:41:51
>>78
It's so nice of you.
Thank you for your feedback.

91 :名無SEA:2006/07/29(土) 19:06:07
ガンガレ!新作野郎!いつも楽しみにチェックしてる香具師がいるぞ。!
          by湘南野郎。

92 :斉藤:2006/07/29(土) 20:04:27
新製品の使い心地はいかがでしょうか?

93 :小林。。 ◆fHUDY9dFJs :2006/07/29(土) 21:19:10
モンゴリw
 
おまえも>>85に何か言ってやれ!


94 :涼子:2006/07/30(日) 00:10:18
モンゴリさん今日は風邪で寝てるわよ

95 :名無SEA:2006/08/01(火) 22:59:29
なんかちっちぇえ事に粘着してるアフォがいるな・・2チャンローカルかw

96 :名無SEA:2006/08/04(金) 12:43:59
アイス喰って休憩ww

昼ねw

夕方から波乗り

毎日そればっかw

97 :名無SEA:2006/08/04(金) 16:17:08
日本からも「頑張れ」−。判定で敗れたランダエタの母国ベネズエラの首都カラカスにある日本大使館には
3日朝(日本時間同日夜)までに、日本人から1000通もの“おわび”電子メールが送られたことが分かった。
大使館の広報文化担当者によると、「100%」がランダエタを称賛し、判定を謝罪する内容のものだったという。

 日本人は、やはり“恥を知る”国民だった。大使館のホームページ(HP)を通じて、ランダエタあてに
寄せられたメールは、HP開設以来、ひとつの出来事に関するものでは最多の大反響。すべてが
「試合はあなたの方が勝っていた」とするもので、「ランダエタ選手の紳士的な態度、ファイティングスピリットは
素晴らしかったという中身ばかり」(担当者)だった。

2日の同国国営通信が「日本の観客はランダエタの勝ちだと思った」と報じるなど、ベネズエラ国内でも判定に
疑問を投げかける報道は多い。ただ、大使館への抗議などはなく落ち着いているといい、「日本を嫌ってほしくない」と、
国民感情を考慮した日本人が敏感に反応した形となった。

 メールの中には「もう一度、日本で試合をしてほしい」というラブコールも。
大使館は「ファンレターのようなもの」と判断し、帰国次第、手渡す予定でいる。ベルトは奪えなかったランダエタだが、
日本で得たものは大きかったようだ。


98 :名無SEA:2006/08/04(金) 21:21:45
ランダエタ万歳!

99 :名無SEA:2006/08/04(金) 22:43:17
ねえ数字の前の>>←この記号の書き方をまた教えて、すまんっ

100 :名無SEA:2006/08/04(金) 23:22:55
↑ぐぐれ

101 :名無SEA:2006/08/05(土) 08:31:49
>>92-100
スレ違い。つか、sageろ!

102 :名無SEA:2006/08/05(土) 10:41:20
亀田は悪くないよ。
あの子はあの子の中で一生懸命やったし、
本当に勝ったんだと思ってたんだから。

あの3兄弟は、今は差別になるからないかもしれないけど、
昔は普通にあった特殊学級の生徒。
話し方とか話す内容聞けばわかるでしょ?
もう少し壊れたら養護施設か精○病院送りだよ。
例えばそういう施設の人が、オラッとか言ったり、
超目上の人にモロにタメ口きいたからって怒らないでしょ?
なにされるか分からないという怖さと、哀れを感じるだけで。

可愛そうだよ。

俺、試合見てて、今まで強きなタメ口きいてた男が、
チャンピオンベルトどうします?ってインタビュアーに聞かれたとき、
「オヤジに渡します」って敬語で答えた時、涙が出たよ。

知恵遅れの子が一生懸命頑張ってお父さんを喜ばそうと思ったんだから。

あのオヤジも似た程度の頭のでき。
そう思った時、協栄ジムとTBSに何とも言えない怒りを感じた。
あれは昔、見せ物小屋にいた、
壊れた人間を見せて笑いと涙で金を取ってた見せ物芸。
そんなことをさせちゃだめだよ。
みんなで亀田親子を守ってやろうよ。
あの親子はみんなで守ってあげなきゃだめなくらい、
“弱い”生き物なんだから。


103 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/08/05(土) 10:51:27
サーファーを30歳でやめないと。

がん細胞が死にません。

サーファーのほとんどが癌で死にます。

   シンドラー国際病院  デッビット・アーチャー

104 :名無SEA:2006/08/05(土) 19:03:04
ロンボを凸凹にしたいw

105 :名無SEA:2006/08/05(土) 20:01:42
やっぱりねw


106 :名無SEA:2006/08/05(土) 22:01:22
闘争心

107 :名無SEA:2006/08/06(日) 10:02:19
ハルシオンに粘着するnaui田原浩一ヲタッキーがIANTDとTDIイントラ購入した事実は消えませぬ
http://www.give.co.jp/asdi/list/tech.html
TDI カバーン 佐川純さん 03/10/03 【田原浩一ヲテッキー】 03/10/03
http://www.tdi-japan.gr.jp/news/archive.html
主催:TDI JAPAN
監督:佐藤矩郎
コースデレクター:安原謙二(事務局長)
アシスタント:鷹野与志弥(ASDI)
協力:友寄秀光(久米海秀)、堅田純平
コース合格者:佐川純(JCSシステム開発テクニカルダイビング普及開発)
西谷雅治(シーロマン横浜)
山本貴之
【田原浩一】(@ディープ)

@ディープで菊池文村さん(133本目)テクニカル受講 担当【田原浩一ヲテッキー】
2004 年 2 月
IANTD Deep Diver
IANTD Advanced EANx Diver
2004 年 3 月
IANTD Inspiration CCR Diver
http://www.qab.co.jp/01nw/04-07-27/index8.html
2004年 07月27日
浦添市の菊池文村さん(35)国頭村宜名真の北谷岬で行方不明
2004年10月17日
宇都宮で菊池文村さん葬儀

http://stopstalker.jp


108 :名無SEA:2006/08/06(日) 12:29:23
そうね!

109 :名無SEA:2006/08/08(火) 00:43:04
なんど見ても亀田負けてんじゃんw

110 :名無SEA:2006/08/08(火) 11:33:06
キタコレw

111 :名無SEA:2006/08/08(火) 12:39:04
>>107
丁寧にレスしてくださり感謝しております。

落語にはお金にまつわる話がよく出てきて、それが一体今のいくらになるのか
気になりだすとどうにも話に集中できないので、
このような話題で回答してくださると本当にすっきりします。

ところでよく「○○貫目」というお金の単位が出てきますが、これは何両
(何分?)くらいなのでしょうか。確か大工調べで換算する部分が出てきたと
思うのですが、よく思い出せません。教えてばかりで済みませんが、
よろしくお願いします。


112 :名無SEA:2006/08/08(火) 16:45:42
>>111 どういたしましてw

113 :名無SEA:2006/08/08(火) 23:51:18
マジカキコすまん なんだろな…サーファーとして生きるって 十年以上ショートしか知らないけど… 今でもわかんない

114 :名無SEA:2006/08/09(水) 14:57:03

気にすんなよw

115 :名無SEA:2006/08/09(水) 19:07:54
いやwそうわいかんよ。

116 :名無SEA:2006/08/10(木) 09:38:52
まあまあそんなこと言わず・・。
おぉーいwお茶!!

117 :名無SEA:2006/08/10(木) 10:01:00
サーフィンとは?って難しく考えて馬鹿になってる馬鹿多いよな
そういう奴が一番分かってなかったりする

118 :名無SEA:2006/08/10(木) 10:07:54
うっさいネットリサーファー!死ね

119 :名無SEA:2006/08/10(木) 10:13:13
サーファーって盆は海にいく?自分は毎年悩んで結局いくんだけど、

120 :名無SEA:2006/08/10(木) 11:05:47
インピンwこの流れどうにかしろ!!

121 :名無SEA:2006/08/10(木) 11:20:03
インザ尿ピンク

122 :名無SEA:2006/08/10(木) 11:34:45
>>118
サーフィン語るほど人間ができてない

123 :名無SEA:2006/08/10(木) 11:38:12
まぁ波乗るより女乗るほうが好きだ
文句あるか?

124 :名無SEA:2006/08/10(木) 20:40:43

perfect wave
perfect sky
perfect summer
tell me the
natural
let's enjoy 2006
夏 and 祭

125 :名無SEA:2006/08/10(木) 22:55:48
サーファーとして生きる、ということ

サーフィンが生活の一部として溶け込んでる香具師

サーフィン無しでの生活は考えられない。と思う香具師

サーフィンとは麻薬だ。と感じてる香具師

サーフィンを何より優先したいと感じてる香具師

126 :名無SEA:2006/08/10(木) 23:21:28
どっぷりと信仰しちゃってますわたくしは、サーファーとして生きてるのかな?。。。
そんな輩はきっとわたくしだけではないハズ。。。

127 :オマンコ娘 ◆8w4XnVlx1k :2006/08/12(土) 21:33:49
あっふーん 摂理でござる にんにん

128 :名無SEA:2006/08/14(月) 00:42:18
まだー待ちくたびれたよ

129 :名無SEA:2006/08/19(土) 16:57:26
まだー

130 :名無SEA:2006/08/20(日) 00:35:05
片岡義男ば読んでネタ充電中

131 :ま○と :2006/08/20(日) 00:51:52
笑 簡単じゃん?まずVIP乗ってマフラーは最低四本だせよ!でウィル持ちだから後はおまえ等に教えてやるべ?

132 :名無SEA:2006/08/20(日) 01:11:54
よしいけw

133 :名無SEA:2006/08/20(日) 15:54:27
そらいけw

134 :名無SEA:2006/08/20(日) 17:53:28
まだかよw

135 :まこ○ちゃん:2006/08/20(日) 19:17:13
期待するんじゃねぇよ!俺はアイドルじゃねぇんだし
ゲスブ書き込み頼んだぜ!

136 :名無SEA:2006/08/20(日) 19:19:20
VIP最低なセンス。

137 :名無SEA:2006/08/21(月) 10:59:23
幕の内弁当20個
お茶30個



138 :名無SEA:2006/08/21(月) 16:54:58
いやぁー・・ロングボートでよかったよw
いやね、ショートの人達さぁー、、だぁーれも立てやしないんだものなぁー?


139 :名無SEA:2006/08/22(火) 09:52:43
オークションでウエット買ったことある人いる?

140 :名無SEA:2006/08/22(火) 20:28:56
今日波乗りしながら気付いたこと。
「波とおっぱいは似ている」
小さいのは良くないが、大きければ良いってわけでもない。
形が重要なんだ。
今日の波は腰〜腹。トロ速い波だった。
まだ2年目の俺にはテイクオフが難しい。
おっぱいに例えるならB〜C。
少したれ気味で陥没気味の乳首。
立たせるのにちょいとコツがいる感じ。
ちなみにFカップ(頭半)からは共に未知の領域である。

141 :名無SEA:2006/08/22(火) 23:25:37
↑ワロスww

142 :名無SEA:2006/08/23(水) 15:50:44
俺は瓦職人として生きています。

143 :名無SEA:2006/08/23(水) 22:21:49
暑い中ご苦労さまです。
さげさせてもらいますよ

144 :名無SEA:2006/08/24(木) 10:37:12
そうわイカンザキ

145 :名無SEA:2006/08/25(金) 08:59:59
おぉーーーいwみつ子!

146 :名無SEA:2006/08/28(月) 09:37:21
灰皿もってきてくれw

147 :名無SEA:2006/08/30(水) 09:18:36
おぉーーーいwみつ子!
いないのかぁーww みつこぉーww

148 :名無SEA:2006/08/30(水) 22:23:11
しょぉーがないなぁーww
おっw天ぷらかぁーw

149 :名無SEA:2006/08/30(水) 22:28:43
まんじゅる

150 :名無SEA:2006/08/31(木) 14:59:29
よしwビールでも飲むかww

151 :名無SEA:2006/09/03(日) 22:49:55
うぃぃーーww うまいなぁー・・・たまらんww

152 :名無SEA:2006/09/04(月) 09:03:05
キサマ上げるな(怒
殺すぞw

153 :名無SEA:2006/09/04(月) 10:54:42
すまん俺が上げちまった(謝

154 :名無SEA:2006/09/10(日) 12:36:47
キタコレw

155 :名無SEA:2006/09/13(水) 19:59:41
まんの後の言葉は〜?

156 :名無SEA:2006/09/13(水) 20:01:01
マンションとか〜、そういうのでお願いね〜、ピンクネタはダメよ〜。

157 :名無SEA:2006/09/14(木) 00:06:04
まんこまんこまんこまんこまんこまんこまんこまんこまんこまんこまんこまんこまんこまんこまんこまんこまんこまんこまんこまんこまんこまんこまんこまんこまんこまんこまんこまんこv

158 :名無SEA:2006/09/14(木) 13:36:02
ごくろう

159 :名無SEA:2006/09/21(木) 14:37:45
寂しい皆さんしんでませかー

160 :名無SEA:2006/09/21(木) 17:09:35
サーファーとだったら

うほ

161 :名無SEA:2006/09/21(木) 17:51:14
30才過ぎても結婚もせず、定職にもつかず波乗りばかりやってるような奴が
どんなに熱く波乗りを語っても全く説得力が無い。お前たちができることは
俺たちにもできることだらけだから。サーファーだから自由でいたいという
気持ちは分かるがそういう連中の大半は自由を履き違えているばかりでなく
自分に都合のいいように解釈していて、それを正当化しようと回りに説法し
て歩くのでとてもやっかいだ。いるだろそういうやつ。

162 :名無SEA:2006/09/21(木) 19:08:57
Go for it

163 :名無SEA:2006/09/22(金) 01:50:24
結婚して定職につくほうが簡単じゃない?

164 :名無SEA:2006/09/22(金) 06:18:17
163の勝ち

165 :名無SEA:2006/09/22(金) 20:48:40
what'up!
brandnewman.
enjoysurf?



166 :名無SEA:2006/09/22(金) 23:25:39
結局161は自分に自信がないから本気で波乗りやってる奴をひがむ。
時間を割いた長文はその証し。

結局、自分自信は騙せないってことね

167 :名無SEA:2006/09/23(土) 11:11:11
161に痛いところを突かれて過剰に反応してしまった負け組み乙。

168 :名無SEA:2006/09/23(土) 11:50:22
ぞろ目とはなかなかやりますな

169 :名無SEA:2006/09/23(土) 22:49:09
週末だっていうのに昼間からアクセスして彼女いない暦32年乙。

170 :名無SEA:2006/09/23(土) 23:11:25
‖艸`*)クスッ      アタイもカレ氏いなくて海が恋人よ!なんちて。。。

171 :名無SEA:2006/09/25(月) 15:34:42
ウププププ

172 :名無SEA:2006/09/29(金) 00:42:04
もうサーフィンやめよっかな  這煤iT∀T。)゚。

173 :名無SEA:2006/09/29(金) 00:44:22
↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑あげぇ〜〜〜〜〃〃

174 :名無SEA:2006/10/02(月) 12:02:39
いやいや、本当に新作君はどーしちゃったのかな?
大丈夫かな?なんかあったのか?


175 :名無SEA:2006/10/06(金) 11:34:14
シネパトス

176 :名無SEA:2006/10/06(金) 23:56:24
174さんは優しい人ね。  最近ナニかいいコトありましたかぁ??

177 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/10(火) 11:42:00
新作君は一応完結だったのかな?
でも、どーしちゃったんだろう?忙しいのかな?
オレも書いたの中途半端だし、ココに書こうか迷ってる。。。

>>176 いいことねーな〜。。。忙しいし。。。

178 :名無SEA:2006/10/11(水) 00:08:43
新作って(172)のコトかな?だったらアタシなんですが、最近、板をぶっ壊してしまってV(-_-;)V    その他もろAイイコトないよぉ。トキメキもないし(T∀T。)゚。

179 :新作野郎:2006/10/13(金) 17:33:39
みなさま、ごぶさたしています。実はパソコン壊れちゃいました。今は外部から書き込んでます。
当分更新できそうもないのでリリーさん始めちゃってください。

【最終章予告編】
華子と少年と太郎は、梅雨が明けて夏本番を迎えた。波の方はいまひとつでポイントを移動しながら
サーフィン続けていたが、ついに待ちに待った台風が発生した。
少年は3年前に偶然見つけたシークレットポイントに華子と向う。それはそのシークレットポイントで
ある人物と会うためだった。少年は必ずその人物もこの台風でそのポイントに現れると思っていた。
そしてそこで繰り広げられるラマがその後それぞれの人生を歩ませていくことになる。
消えた華子を少年は探し出せるのか?そして1年後に届く一通のハガキに書かれていたこととは?
感動の最終章、公開未定、乞うご期待!!

180 :名無SEA:2006/10/15(日) 15:56:28
まだー待ちくたびれたねんけど

181 :名無SEA:2006/10/16(月) 20:59:50
>>そしてそこで繰り広げられるラマ・・・

ラマ?
動物名 ラマ
分 類 ほ乳類 偶蹄目 ラクダ科
英 名 Llama
学 名 Lama glama
分 布 南米の高地で飼われている家畜種。
情 報 別名アメリカラクダと呼ばれる。
   主に荷物運搬用に使われ、その毛は衣服に利用される。


182 :名無SEA:2006/10/16(月) 21:18:56
たぶん、ドラマじゃね?

183 :名無SEA:2006/10/16(月) 22:13:08
みちこぉーみちこぉーーww
おぉぉーーい みちこぉw
とうさんの歯ブラシどこだぁーー?

184 :名無SEA:2006/10/16(月) 23:56:49
あぁ・・・たぶんドラマだと思うけどな・・・

一匹のラマがそれぞれの人生を変えたりして・・・ww

185 :名無SEA:2006/10/17(火) 00:48:38
衛生サックS(1打入り)

186 :名無SEA:2006/10/17(火) 09:43:26
キタコレww

187 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/17(火) 17:36:07
この流れの中で
始めちゃうのもいかがなものかと思うが、載せてみるよ・・・
前スレ読んでくれてた人達やこのスレの好きな人達からは
たぶん賛否両論あると思いますが
今回の奴は少〜だけ、エロ入れたw
とても長くなって、重くて落ちたらゴメン。。。
あと
仕事あるので、途中切り上げあるかもってことも。
ま〜、2ちゃんだからってことで許してねwww
本当に暇つぶし程度に読んでちょうだいよwww
素人いじめないでねw




188 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/17(火) 18:08:20
《プロローグ》

何処かの宗教の言い回しではないけれど、あなたは神を信じますか?・・・・・


女は男に跨り、激しく体をよがらせていた。
男は揺れる女の乳房を下から眺め、考えていた。

(おいおい。明日は波があるからいい加減にしてくれよ・・・いい歳なんだからよ・・・。)

そして女は、より一層体をよがらせると、声にならない声を上げた。

「もうだめ!気持ちいい!あっ・・・・・。」

そう叫ぶと女は男の上に倒れこみ、男にキスを求める仕草をした。
男は優しくキスをすると
誰もが吸い込まれそうになるほどの「美しい瞳」で女を見つめ、こう言い放つ

「奥様、僕も最高に好かったです。奥様も満足して頂けたでしょうか?」

女は男の顔を優しく触りながら、男の「瞳」を見つめたまま、こう答える。

「あ・・・あなたは最高よ・・・。もっとしてくれたら、もっとボーナス弾むわよ・・・。」

「奥様・・・すいません。今夜はこの辺で許して下さい・・・。次にお逢いする時には、もっと御奉仕致します・・・。」

そう言うと男は、女の体を優しく寝かせ、キスをし、溢れた女の蜜を奇麗にした・・・・・。



189 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/17(火) 18:21:18
男の名は「ジョージ」。
でも、彼を知る全ての人間は、男を「ジョー」と呼んだ。
外国人のような名前だが、容姿も黙っていればとても日本人には見えない。
何故かって?
それはジョーはハーフらしいから。
しかし、英語が堪能でもなく、母は間違いなく日本人であるということを
本人だけが分かっているだけで
父親は顔すら見たことが無いし、もちろん話したことも無い何処かの外国人らしい・・・。
「らしい」って曖昧な言い方をするのは、
幼い頃、母が言っていた憶えがかすかにあるだけだからだ。
そのことの真相はジョー本人さえも解らないが
ジョーの顔を見れば、誰もが納得してくれたし
今となってはありがたく思っているほどだ。

190 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/17(火) 18:39:33
そんな、「なんちゃってガイジン」のようなジョーの恵まれた端整な顔立ちと
シャープで均整のとれた体は、男から見ても羨ましく、ムカつくほどに美しい。
特に、眺めていると、吸い込まれそうになる程の美しい瞳は
何色とも解らない不思議な色をしていて、
この美しい瞳で口説かれる女は、幸せすら感じるハズだ。
そして、その「瞳」をキラつかせて口説かれる股のゆるい女は
都会の「街」では、あとを絶たないでいるワケなのだ。

そう。
ジョーはその恵まれた美しい容姿を活かして、「男娼」をしている。
客は都会のセレブの「奥様方」。
もちろん、男の相手は絶対にしない。
ただ金のある、「股がゆるんできた女」に体を売り、生きている。
そんなジョーの哲学は
「波乗りとSEXほど、気持ちいいことは無い。」
だ。ハッキリ言って、どうしようも無い男なのだ・・・
見た目以外、中身は最低の奴なのだ・・・。

191 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/17(火) 19:07:32
今夜もジョーは、
二十歳以上も歳の離れた、何処かの「金持ち奥様」相手に
しっかりと「仕事」をこなしていた。
というワケである。

二人はシャワーを浴び、服を着ると
女はタバコに火をつけ
ジョーにバックの中から取り出した封筒を渡し、語りかけた。
「またお願いね・・・。連絡するわ。大好きよ・・・ジョー・・・・・。」
「ありがとうございます・・・。僕も奥様からの連絡を楽しみに待っています・・・。
 今夜はゆっくりお休みになって下さい。僕も明日は早いので、
 今夜の奥様の夢を観ながら少し休みます・・・・・。」
心にも無い歯の浮くような台詞を、相手により使い分け
優しくキスをするのも、ジョーの営業スタイルなのだ。

二人はホテルを出る。
するとジョーは、女をすぐにタクシーに乗せ見送った。
女を乗せたタクシーが見えなくなると同時に、
ジョーは封筒の中の「諭吉」を数え、足早に少し離れた駐車場へと向かって行く。
時計を見ると、時刻はもうすぐ午前1時になるころだ。
「もう1時だよ!寝てる暇ねーじゃねーか!淫乱ババアが!
 あ〜あ、このまま海に行ってねるべ。
 こりゃ、アパート帰って寝たら起きれねーな!チッ!」
そう言い放ったジョーは、国産の白いワンボックスに乗り
これから2時間はかかる、ジョーの住む海辺の町の海岸まで
車を走らせて向かって行った。
ま〜、これが、この男の本性なのである。

192 :名無SEA:2006/10/17(火) 19:12:08
キタコレ義男w

193 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/17(火) 19:36:02
ついでに言っておくと、ジョーに車のこだわりは無い。
波乗りに必要な道具がつめて、ご機嫌な音楽をご機嫌な「音」で聴ければ
車はなんでもよかった。
そんなワケで、「音」だけには、かなりの投資をした。
だけど車は、サーフショップのオーナーに安く譲ってもらった
お世辞にも綺麗とは言えない中古の白いワンボックス。
その程度だ・・・。
そして「仕事」のあとの長〜い、海のある地元までの道のりを
眠気を覚ますため、
お約束のように、「レッチリ」をフルボリュームにして帰る。
ジョーは訴えかけるように歌うアンソニーの歌が大好きなのだ。
なんせ、来日した時は「独り」で必ず観に行ってるくらいだから。

「独り」・・・。
そう、こんなジョーには、当然かも知れないが、
連れや友達と呼べる仲間は居ない。ジョーはいつも独り・・・。
海に行くのにも、大好きなアーティストのレイヴに行くのにも、独り。
それは、ジョーの性格の悪さも手伝って、仲間が誰も居ないっていうこともあるが
ジョーは子供の頃から独りでいることに慣れてしまっていた。
そのことにはちょっとした理由があるのだが、大ざっぱに言うと
ある時、独りにさせられてから、人を嫌い、今まで生きて来たから。
だから性格も見事にひん曲がり、基本的に人間が嫌いで
更に、「女」は性欲処理と生きるための「金の成る木」くらいにしか思っていない。


194 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/17(火) 19:57:27
女を利用はするが
今までどの女にも「愛」はただの一度も感じたことは無いし与えたこともない。
寂しいヤローだ。
しかも本人がそんなことを微塵も感じていないってところが、かなりの重症。
これでもガキの頃の
波乗りを経験する前のジョーに比べれば、まだ「マシ」になった方なのだ・・・。

そんなジョーでも、一人だけ心を開いている人間がいる。
ん〜、正確には心を開いているというより、頭が上がらないだけの人。
それは、ジョーの乗る車の前のオーナーであり
ジョーの通うサーフショップのオーナー。

その人は「ガキ」の頃偶然出会ってから今まで
誰よりジョーのことを一番理解できた人で
何よりジョーを、一番ぶん殴ってきたのもこの人。
この人に出会ってなければ、ジョーはとっくに何処かで野たれ死んでいたと思うし
今となっては、大好きな波乗りもやることは無かったハズだ。
ジョー自身はやはりこんな性格だから、今まで口には一度も出したことは無いけれど
そのことだけは心の片隅に少しだけ感じていて
いまだにその人には頭が上がらないというワケだ。

そんなワケで当然その人にもジョーは、今の「仕事」のことは告げていない。
「たまに〈街〉で割りのいい、バーテンのバイトをしているだけっス・・・。」
なんて言ってあるだけで、「男娼」なんて口が裂けても言えない。
当たり前だ。殺される・・・。


195 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/17(火) 20:25:51
そんなこんなで、ジョーはいつもの「仕事」のあとのロングドライブで
得意の「独り空歌レイヴ」をしていると
車は夜明け前の海に着いた。

ここはジョーのホームポイント。
ジョーは駐車場の、お決まりの場所に車を停める。
「そこ」は、ポイントを見渡せる駐車場内にある、公衆トイレの横の駐車スペース。
このポイントのことをよく知るほとんどの人間は
決して「そこ」には車を停めない。
「そこ」には必ずジョーが車を停めるからだ。
それ程「そこ」は、ジョーのために定着している駐車スペースなのだ。

今日は月曜日。
だからだろうか?ジョー以外の車は何処にも見当たらない。
海に向かい停めた車のヘッドライトをハイビームにすると
昨日よりも確実に波が上がっていることが確認出来た。
「よしゃ!な〜み〜あ〜る〜♪」
さっきまでのロングドライブの疲れがウソのように飛んでいった。
波と女さえあれば、この男はご機嫌なのだ。

窓を開けると通過した低気圧の影響もあったのだろう
初夏の訪れを感じさせる湿った空気の匂いが入ってきた。
時計を見ると、夜明けまでにはまだ時間がある。
ジョーは車のエンジンを切ると、隣のトイレを見つめた。
こんな季節になると
ジョーは昔のことを思い出さずにはいられない・・・・・。
「あの時も・・・今と同じ季節だったかな・・・・・。」


196 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/18(水) 12:39:47
ジョーがまだ6歳の誕生日を迎える前、母に連れられこの海岸を訪れた日のこと。
この海岸は、当時ジョーが住んでいた「街」よりずいぶん遠い所だったことだけは憶えている。
ジョーの母は、一人でジョーを育てながら働いていた。
そして忙しいであろう時間を割いては、よくこの海岸へ小さい車を走らせ、ジョーを連れて来ては一緒に遊んでくれた。

まだ幼いジョーだったが、子供心に母に何か辛いことや悲しいことがあると、
決まってここにやって来るのが解っていた。
夜の「街」で働き、一緒に遊んでもらえる時間が少なかった忙しい母。
そんな母と二人きりで遊べるこの場所が、ジョーはとても好きだった。

197 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/18(水) 12:43:51
その日、母はいつものように車から降りて、ジョーと一緒には何故か遊んでくれず、車の中から遠くの海を見ているだけだった。
ジョーはそれでも一人海岸で遊び、そんな母のために綺麗な貝殻を、小さな手で一生懸命拾い集めていた。
その小さな手で、小さなバケツに拾い集めた綺麗な貝殻を抱え
「ママ、きっと喜ぶぞ!」
と、満面の笑顔で、海岸を見渡せる公衆トイレの横に停めた母の小さい車に向かった。
「ママ!見て!綺麗な貝、いっぱい拾ったよ!」
助手席のドアを開けるとジョーは笑顔で母に言った。
しかし、母は海を見つめたままで、その頬には何故か涙がこぼれているのが見えた。
その母の、いつもと違う様子に、幼いながらも心配したジョーは尋ねる。
「どうしたの?ママ、お腹痛いの?・・・ね〜、ママ見てよ!貝!綺麗でしょ!まだいっぱいあるから一緒に拾おうよ!」
「・・・・・ごめん・・・ごめんね・・・ジョー・・・。」
どうして母が謝るのか、幼いジョーには分からなかったが、
そんな母の顔を見て、ジョーは今日、一人で遊ぶことを決めた。

「僕、トイレに行ってくる!」
ジョーはそう言うと、母のために集めた貝殻の入ったバケツを、車の助手席の足元へ置きトイレに向かった。
いつも母と約束している通り、ジョーは一人でキチンと用を足し、キチンと手を洗い、トイレの外へ出る。
トイレの外へ出るとジョーは、さっきと少しだけ違う風景に、少しだけ驚いた。
そこにあるハズの、母の車が無いからである・・・。
しばらくその場で小さな頭で考えていると
「ママ、きっとお弁当買いに行ったんだな!」
という答えが出たので、ジョーは母のための貝殻拾いの続きを思い出し
すぐに戻ってくるであろう、母を待たず、また海岸へ貝を集めに降りて行った・・・。

そして、その日
母は戻って来なかった・・・・・。




198 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/18(水) 13:07:15
夕方、もう日も暮れかかる頃、小さい両手に貝殻をいっぱい握りしめ
もう何時間もトイレの横で座り込んでいる幼い男の子がいた。
その様子が地元のサーファーの目に留まり、不審に思ったそのサーファーの一人が声をかけた。
「どーした?誰か待ってるの?家近所?お兄さんが送って行こうか?」
首を激しく横に振りながら、男の子は言う。
「ママを待ってるんだ!知らない人について行ってはダメってママ言ってた!」
と、かたくなに答えるその小さな姿を心配したサーファーは、海岸近くの交番に行き事情を話すと
交番の警察官は、すぐさまその男の子の元へ駆けつけた。
そして、警察官の必死の説得が始まったのだが、男の子はまったく説得に応じず、ただひたすら母の帰りを信じ
頑固にその場所を動こうとはしなかった。
しかも、その男の子の容姿は、日本人なのか外国人なのかも解らず
プロであるハズの警察官も、ただ、お手上げ状態が続いているだけだ。

そうこうしている間に、日もすっかり暮れ、まだ春の夜の冷たさの残るこの季節。
警察官が駆けつけてから、どのくらいの時間が過ぎただろう。
夜の寒さが段々増してきた頃、この騒ぎを聞きつけたある一人のサーファーが現れた。
彼はこの海岸近くでサーフショップを営み
このビーチのサーファー達から「チョビさん」と呼ばれているボス的存在の、ローカルサーファーの一人だ。

199 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/18(水) 13:10:03
頑固に、かたくなにそこを動こうとしない男の子と、困り果てた警察官の間に突如その男は割って入り、
腰を下ろすと同時に、その顔から想像できない愛くるしい笑顔で、その小さな男の子に話しかけた。
「どうした?名前言える?よかったらおじさんに君の名前教えてくれないかな?」
寒さからなのか、不安な気持ちをこらえているからなのか、少し震えた体で、小さな男の子は小さな唇を動かした。
「・・・ジョージだよ・・・。でも・・・ママは僕のことジョーと呼ぶんだ・・・。おじさん、だれ?」
「そうか。ジョージか。いい名前だね。おじさん、ママの友達で「チョビ」って呼ばれてるんだよ。」
「え?!ママのお友達なの?ママなんで帰ってこないの?ママどこに行ったの?」
「おじさんにママから連絡があって、ママ、急な用事が出来て遅くなるから、替わりに迎えに行ってと言われていたんだけど・・・
 けど、おじさんも仕事があったから、すっかり遅くなちゃって・・・ゴメンな!」
そう言うとチョビさんと呼ばれる男は、小さい男の子に握手を求めると、またあの愛くるしい笑顔を見せた。
男の子は手に持っていた貝殻を丁寧にその場に置くと、目の前にいる鼻の下に髭を蓄えた男の手に答えた。
初めて体験する不安と寒さだったのだろう・・・。
男の子の小さな手は冷たく、そして震えていることが、男にしっかりと伝わってきた。
「寒いだろ?おじさんの店、すぐ近くだから、暖かいココアでも飲みながら、そこでママを待ってようか?」
小さい男の子は軽くうなずく。すると男は続けて
「ねー。おじさんもジョーと呼んでいいかい?」
「うん。いいよ。ママ、何時に帰ってくるのかな?」
「そーだなー。もう外が暗いから、道に迷っているだけかも知れないし、
 ママがここに来たらおじさんのとこから見えるから、一緒に待ってようぜ。」


200 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/18(水) 13:13:48
この「チョビさん」と呼ばれる男の言葉は全て虚言である。
つまり男の子に会ったのも初めてだし、当然、この男の子の母とも知人でもなんでもない。
ただ、このビーチを長く見守ってきた使命感から、「ウソ」をついて、寒さの残るこの場所から
小さな男の子のかたくなに母を待つ、小さく重い腰を上げさせたのだ。
そのことを男は、説得に困っていた顔馴染みの地元交番の警察官に説明し、
この小さな男の子をやっと、暖かい場所へと移動させることができたのだ。

これが、「ジョー」とジョーの通うサーフショップのオーナー「チョビさん」との初めての出逢いとなった。
けれど、今の「ジョーとチョビさん」の関係になるには、まだまだ時間のかかる話になるのだ・・・・・。


201 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/19(木) 18:24:51
《ジョー》

このあと、ジョーは無事、警察官に保護されたのだが、はっきりとした身元を証明できる物は何も無く、
肝心のママの行方も消息も何一つ分かることなく、時間だけが過ぎていった。
結局ジョーは、ママがいつか「ここ」へ迎えに来てくれると信じ、ジョー自身の強い希望もあり、
この「町」の、この海岸近くに建っていた施設で過ごす事となったのだ。
それでも、こんな小さな子に、そんな簡単に現実を受け入れられるハズも無い。
時間と日が経つに連れ、自分の納得のいかない環境に、知らない内に送り込まれたような気持ちになっていくようになる。


202 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/19(木) 18:27:09
そしてジョーは、施設で暮らす年を重ねるごとに荒れていくようになってしまう。
ジョーが荒れてしまうのは、周りの子供達はもちろん、ジョーを取り巻く環境自体に馴染めなっかたことも理由の一つだろう。
それは、ジョーの容姿は他の子達と違うってことだ。目の色、髪の色が違う。
そんなことで、日本人なのに「ガイジン」と蔑まされ、歳の上の子達からいじめられれば、
どうしても施設や学校の環境に馴染むことが出来ないっていうのは当たり前。
そして
「ぼく、ほんとうは日本人じゃないのかな?・・・だからママに捨てられたのかな・・・・・」
と言う、ジョーだけが感じる見えないコンプレックスが自然と芽生えてしまったのだ。
そのため、周りの、どの大人にも甘えられない子供になってしまった。
これは子供達のせいでも何でも無く、狭い国に生まれた日本人特有の差別や偏見的なことを克服してこなかった、
当時の周りの「大人」達のせいでもあるのだ。
ジョーはまだ右も左も解らない小さな子供なのに、その直球を喰らいっぱなしで過ごして生きてきたワケだ。
そんなジョーの特異なところは、負けず嫌いで、けっして人前では泣いたりしなかったこと。
才能なのか何なのか、ジョーは子供なのに怖いくらいの根性があり、どんなにいじめられても泣くどころか、涙さえ、誰にも見せなかった。
それでも、小さな子供であることにはかわりないわけで、
辛いことがあった時は人知れず、あの海岸へ走り、トイレの横に座り、ママの車に似た色の車を見つけてはママの姿を捜し、
独りぼっちの寂しさに耐え、独りで生きてきた。


203 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/19(木) 18:31:10
そんなジョーが、中学も二年目を迎えるまでになった時は、すっかりこの辺では有名な、
いわゆる「札付き(古いか?)」になっていた。
そう、お決まりのアウトローコースへどうぞってくらいのね。
喧嘩はもちろん、恐喝、万引き、窃盗・・・・・などなど。
まるで罪を重ねて名を売るように荒れていった。
当たり前だが、気が付けば、もう誰も、ジョーに同情し、優しい言葉をかける人間はいない。
ジョーに寄ってくるのは、気に入らない奴を押さえつける腕っ節だけが自慢の奴や、
力の無い者に対する小さな恐怖の植え付けだけが趣味の最低の奴とか、ジョーにへつらう上っ面だけの糞みたいな奴。
そして、そいつらとジョーを支えているのは、いつでも起きうる裏切りを覚悟した、屁よりも薄い友情だけ・・・。


204 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/19(木) 18:36:05
この頃のジョーはサーファーが大嫌いだった。
あの日、あの時、あの口ひげを生やした男について行かなければ、ママがが迎えにきて、今もこんな所に居るはずは無いと思っていたから。
それに、嫌なことがあると必ず訪れていたこの海岸に来ると、
サーファー達が皆、笑顔で海に入り、海から上がっても笑顔でいる姿を見るのが、堪らなくムカつくからだ。
「こいつら、夏でもねーのに毎日海に入って笑ってるし、なにが楽しいんだ?アホか?」
そして毎日サーファーを観察している内に、あることを思いついた。
まるで無防備に海に入っていく「バカなサーファー」の車を荒らしてやろうと思いついたのだ。

ある者は鍵をかけず、ある者はバカでも分かる場所に鍵を置いて海に入る。
ジョーの考えは見事的中し、効果があった。
しかし計算外だったのは、ほとんどのサーファーの財布が軽すぎるってことだった。
「げっ!あいつら毎日海に来てるから、金持ってるかと思ってたら、貧乏人ばっかじゃねーか!」
そんな車上荒らしを繰り返していたある日、ジョーは運命の再会をすることとなる。


205 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/19(木) 18:39:12
ビーチでの車上荒らしで調子にのっていたジョーは、「仲間」と呼んでいた数人と、いつものように
サーファーの車をターゲットにしていた・・・。
1台・・・2台・・・と繰り返し、3台目の車の鍵を見つけ開けた瞬間
突然ジョーのわき腹に重い一発が入った・・・。
不意に喰らったわき腹を押さえ、振り返った瞬間、次に飛び込んできたのはアゴに直撃した見事な左フックだった。
コレは効いた・・・。膝からくずれ落ちる。
「うぅ〜・・・・・。」
ジョーはすっ飛びそうになる意識を取り戻して反撃に出たいが、体は思いと反対にうなだれ、足もいう事を効かない・・・。
そりゃそうだ。わき腹とアゴにいいのが入ったら動けるワケがない・・・。
そのうなだれる後ろ髪をつかまれ、顔を上げさせられると
「何やってんだ!コラ!」
ジョーの目に映ってきた声の主は、忘れもしないあの顔だ・・・。
多少年齢を増したが、間違いなく「チョビ」と名乗っていた、鼻の下に髭を生やしたあのオッサンだった。
「お・・・お前・・・ジョーか?・・・最近「ここ」でチョロチョロ車上荒らしをしてるバカがいるって、お前らの仕業だったのか?」
「う・・・うるへ〜!だから何なんだよ!・・・・・」
ジョーはわき腹とアゴの痛みをこらえ、言わなきゃいいのに、必死の強がりを言った。
当然、このあとジョーは、反撃の余地も無く、見事チョビさんにボッコボコ。
気が付いた時には、仲間と呼んでいた奴らはとっくにいなくなっていたのは言うまでもない・・・。


206 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/19(木) 18:43:34
これまで、喧嘩で負けたことは無かったジョー。
それなのに、これでもかってくらいにノされたジョーは悔しくて、悔しくて。
しかも相手があの「チョビさん」だったから尚更だ・・・。

そんなことからジョーは、止せばいいのに、次の日から毎日、毎朝、チョビさんにリターンマッチを挑みに行く。
ジョーの性根はひん曲がっているが、根性だけは無駄すぎるほどあったのだ。
しかし、あとでジョーも解ったことだが、チョビさん、高校の時代はボクシングでインターハイに行き、
更に入賞している経歴を持ち、プロライセンスも取得していた程のツワモノ・・・。
だから当然、たかがガキ相手の喧嘩程度でならしたくらいのジョーが、いくらリベンジに行っても、勝てるハズも無い。
それでもジョーは若いし体力もある。そして無駄にあるだけの根性を消費するように、しつこくチョビさんに挑んで行くのだ。

毎日、殴っても殴ってもゾンビのように、毎日しつこくやってくるジョー。
そんなジョーの相手をするのも、いい加減うんざりしていたチョビさんは、ある日、ある提案をする。
「ジョーよー。今度は違うことでオレと勝負しねーか?」
本当の映画のゾンビの顔のように、元の顔も分からないくらい顔面を腫らしたジョーは答える。
「違うことってなんだよ!」
「オレの乗ってたボードやるから、これで波乗りやってオレより巧くなったら、何でも言うこときいてやんよ!
 なんだったら俺、人間サンドバックとかにもなっちゃうよ!マジで!」
この意見に、ジョーは最初こそ
「何言ってんだ!波乗りなんか絶対にやらねーぞ!ふざけんな!」
なんて、言っていたのだが、今度はチョビさんのしつこい巧みな言い回し攻撃で
「あれれ?散々俺に偉そうなこと言ってて、俺みたいなオッサンにできて、若いお前には出来ないのかな?サーフィン?
 なんだよ、なんだよ!喧嘩もダメだし、全然大したことないのね。ジョーちゃんは♪」
などと、散々馬鹿にされてから、そのあとチョビさんに見事言い包められ、結局ジョーは、サーフィンを始めることになってしまう。


207 :名無SEA:2006/10/21(土) 06:17:17
きたーwktk

208 :名無SEA:2006/10/21(土) 07:23:34
前の話は途中で終わったんかい?ゴルァ( ̄▽ ̄;)

209 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/27(金) 15:48:51
この日から、暇さえあれば、喧嘩の相手を波に変え、ジョーの格闘の日々が始まった。
すでにこのビーチのローカルサーファー達の間では、すっかり人気者になっていたジョー。
本人はそんなことはつゆほども知らず、持ち前のひねくれ無駄根性で、本当に毎日波乗りに通った。
だけど、当たり前であるが、ジョーが思うほどサーフィンはすぐには上達するわけではない。
ある時はみんなに笑われ、ある時は死にそうになるくらいの苦しい思いもした。
途中で何回も挫折しそうになったが、その度にタイミングよくチョビさんが現れ、
「あれれ〜?!ジョ〜ちゃ〜ん、もうギブアップ〜?意外と根性ないのね〜♪」
なんて、バカにされる。

そんなこんなで奮闘していたある日、波待ちしているジョーの前を、縦横無尽に波を切り刻み
波のチューブを抜けて行くチョビさんの姿を見た。
ジョーは我を忘れ、そのチョビさんの姿に見とれてしまい、思わず
「スゲー・・・。なんであんなことできるんだ?・・・・・」
感情が言葉として出てしまうほど、その姿は感動的で、今までジョーが感じたことの無い、不思議な魅力を植えつけるシーンとなった。


210 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/27(金) 15:52:17
そして、そんな体験と奮闘を繰り返す毎日が過ぎて行くにつれ、ジョーはいつの間にか、
寝ても覚めてもサーフィンのことばかり考えるようになっていた。
そればかりか、施設と学校と海以外に、通うところも一つ増えた。
ジョーは波乗りのことでイキズマルと決まってチョビさんの店へ行き、不器用な言い方で、
サーフィンに関するいろいろな知識を聞きに通っていたのだ。その度、チョビさんに
「口の利き方がなってねーんだよ!!」
なんて、頭が割れそうになるほどのゲンコツをもらっていたワケだが、
こんなやり取りがジョーには何とも言えない新鮮さと心地良さがあったのも、少しだけ感じていた。
けれど、ひねくれた性根は治らないままだ・・・。

そんなジョーを、影で支え続けていたのはやっぱりチョビさんである。
ジョーにウエットスーツなんて買えるワケでもないので、自分のお古のウエットを
「もうこれ飽きたから、おまえが着ろ!」
なんて言って、ウエットはもちろん、サーフボードさえも提供してくれた。
更に、ルールやマナー、ボードのことやリペアの仕方など、波乗りに必要な知識を全て、若いジョーに教え込んでいった。頭にゲンコツをくれながらだが・・・。

こうしてジョーは、持ち前の根性(性根は曲がってるけどね)と、運動神経がもともといいのか、それともジョーの中にある遺伝子の違いのせいなのか
気が付けば、地元のアマチュアの大会では負け知らずになるほど、サーフィンが上達して行く。
それより何より、ジョー自身がサーフィンの魅力に憑りつかれ、どんどんハマっていった。
そして今は、ただ単純にサーフィンが好きで楽しくて、仕方がないほどなのだ。
もうあの時の、チョビさんと交わした約束なんて、今のジョーにはどうでも良いこと。
しかも最近では、コンペでは全国にチョットは名を知られるくらいのサーファーにまで成長した。
と、ここまでは良かったのだが・・・・・。


211 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/27(金) 15:56:50
ジョーの性根は、いくらチョビさんに頭をぶん殴られても
悪ガキの頃からのムラだらけの性格が今でもサッパリ治らなくて、流石のチョビさんも
「やっべー・・・。オレ、あいつの頭ぶん殴り過ぎちゃったのかな?」
なんて、悩んじゃうほど。
例えば、これはごく最近のことだけど、チョビさんに尻を叩かれ
やっと出場したプロアマの大会で、プロ資格も貰えるところまで順当に勝ち上がっていたのに、
「なんだよ!あのジャッジの採点は?!気にいらねー!なんで今のヒート、あいつが1位で俺が2位なんだ?!」
なんて言って、途中大会拒否。当然プロ資格も拒否して帰って来ちゃったりした。
そのあとチョビさんに、浴びるほどの説教喰らっても
「だって俺、別にプロ目指してるワケでも何でもねーもん・・・。」
なんてあっさり言う始末。これにはチョビさん返す言葉も無いほど頭にキテ、ひと月はジョーと口をきかなかったね。
それともう一つ、チョビさんの頭を悩ます問題がジョーにはあった。
これだけこのビーチに通い続けているのにも関わらず、ジョーはビーチの誰ともつるまないのだ。
そう、仲間や友達と呼べる者が誰もいないのだ・・・。

ジョーが中学を出ると同時に、チョビさんは自分の「店」のスタッフとしてジョーを働かせていた。
しかしジョーは、店の仲間達や他のスタッフとも会話することもなく、アイソも悪い。
なので、仲間からも客からもクレームがある為、店の裏でサーフボードのリペア仕事しかさせられない。
しかもそのことを、ジョー本人が別に気にするワケでもなく、淡々とボードのリペア仕事だけをこなしているだけだ。
「やっぱりオレが、ジョーの頭をぶん殴り過ぎたのかな?・・・・・」
と、落ち込むチョビさんのことなど何も知らず、ジョーは成長していく・・・。


212 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/27(金) 16:58:49
ジョーは少年から大人に変化する過程を自分自身が気付くことなく、
いつもの海と店の往復を繰り返し、毎日を過ごしていた。

そんなある日の水曜日、店に「街」から来たという女性のお客さんが買い物に訪れた。
真っ赤な高級外車を乗りつけ、店内をくまなく物色すると、サーフブランドのレディース物を山のように買い込んでくれた。
その女性は誰が見ても美人のいい女。
そして何ともいえない雰囲気といい香りを漂わせている。
チョビさんは久しぶりの上客で、しかもすっごい美人ということもあり、鼻の下伸びっぱなしのウハウハ。
美人相手に緊張しているのが、誰から見てもバレバレで、
「お客さん、綺麗でありがとうございます!」
なんて、ワケわからんあいさつする始末。
それでもその女性の方は場馴れた感じで
「ありがとう。」
と、軽い微笑みで挨拶を返す・・・。これでオヤジは一発KO・・・。


213 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/27(金) 17:01:50
そんなこんなで、女性は買い物が終わると、店の裏(横手にある)のリペア小屋で作業しているジョーに目を留めた。
そしてジョーの所に近づいて行き、何やら話しかけて、ジョーに小さな紙きれを渡した。
そしてジョーに手をふりながら、真っ赤な車に戻り、店を去っていった。
この一連をしっかりと見ていたチョビさんは、すぐにジョーに駆け寄り
「なに?なに?さっきの美人、なんだって?!」
と、オヤジっぷりを炸裂させる。そうとう気になって、仕方がなかったらしい・・・。
「あ〜、・・・ただ、歳と名前聞かれて・・・また来るって言ってたけど・・・。」
ジョーは、はしゃぐチョビさんに、首をかしげながら答えた。
「マジ?!また来てくれるって?!うは!お前しっかり対応しろよ!あんな美人の金持ちお嬢様なんか、この町に来ること事態、奇跡なんだからよ!」
「・・・・・・・・はい。」
その日から、この女性は水曜日になると必ずこの店に現れるようになった。
そしてその度に、チョビさんはウハウハのオヤジになるのだ・・・。

この女性、買い物はもちろんしてくれるのだが、それよりも、一番興味を示しているのはジョーのことらしく、
店の外にいるジョーを見つけては、声をかけていた。
この時ジョーは、18歳。同じ年齢の周りの子達は高校3年生。
ジョーはもちろん進学する意欲も目的も何も無かったため、義務教育が終わると同時にチョビさんのもとでサーフィン漬けの日々を送っていた時期。
季節は夏というにはまだ早く、外は春の涼しさがまだ残る頃だった・・・。

214 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/27(金) 23:06:06
美人のお金持ちお嬢様の客がチョビさんの店に通い始めて数週間が過ぎ、季節は夏を感じ始めた。
今日は月曜日で、チョビさんの店は定休日。
ジョーにとっては、一日中大好きな波乗りを思い切り楽しむことが出来る休日。
しかし、こんな日に限って波のコンディションは、ほぼフラット。
いつもより遅く起きたジョーは、波の無い日の過ごし方を考えながら、もう一度寝ようか起きようか悩んでいた。
ボーっとしながら、ふと見つめた先のテーブルの上に無造作に置いてある、一枚の紙切れに目を留めた。
「なんだ・・・?これ?」
ジョーはその紙切れを手に取ると、それは紙切れなんかではなく、あの女性客がジョーに手渡した女の名刺であった。
名刺の表にはこう書いてある。
   女性専用エステ  (株)AI 代表取締役  間宮 愛
   東京都○○区○○○○ビル4F−○○○  TEL030−○○○−○○○○
裏を見るとご丁寧にそこの地図が書いてあり、更に手書きで彼女の携帯の番号と、
〈いつでもいいからTELちょうだい。〉との文字が書いてあった。
「なんだ・・・あの女の名刺か・・・。」
ジョーはその名刺を、すぐそばに置いてあった財布に無意識に挟み、
「今日は波も無いし、暇だから、久しぶりに『街』でも行こ・・・。」
そう言うと、手早く身支度をし、駅に向かうためチャリに跨った。
「街」までは電車で乗り継いで約2時間。結構遠い。
駅に着き、「街」までの切符を買おうと、ジョーは財布を取り出した。
と、その時、ヒラヒラと財布の中からさっきの名刺が足元に落ちた。
(あっ・・・『さっき』の入れてあったのか・・・・・。)
ジョーは仕方がないように名刺を拾うと、それをシャツの胸のポケットに入れ、切符を買うと、ホームに向かって行った・・・。



215 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/27(金) 23:09:32
ジョーの容姿は「街」に出ても一際目を引く。
高い身長にバランスの取れた理想の体系。そしてなんといっても、あの均整のとれた美しい顔と何色とも解らない美しい「瞳」。
本人はまったくといっていいほど、気にもしていないが、兎に角目立つ。
すれ違う女性はもちろん、ナンパに勤しむサカリのついたオス達までもが振り返るくらいなのだ。
そんなジョーは、「街」に出かけるた時は決まって立ち寄ることにしているCDショップに、この日も例外無く足を運んだ。
しかしこの日、ジョーにはいつもと違う例外が起きる。

ジョーはいつものように、長い時間をかけてCDをセレクトし、やっと吟味したCDを手に取り、レジに向かって歩いていると
尻のポケットに、あるハズの感触が無いことに気が付いた。
(あれ?・・・・・財布・・・財布が無い!!)
ジョーは慌てて店中を探し、そして店の店員の協力も仰いだ。
・・・が、そんな必死の大捜索の結果も空しく、大した中身も入っているワケでも無い、ジョーの大事な財布は
持ち主のもとへ帰ってくることは無かった。
(ヤッベー!・・・帰りの電車賃もねえ・・・・・。どうするか?・・・・・)
ふと、シャツの胸のポケットにある名刺に気が付き、それを手に取る。
よく見ると、その名刺に書かれている場所は、今、ジョーがいる場所からいけない距離ではない。
時間はかかるが、ここからなら十分歩いて行ける場所だった。
ジョーにはすがるものが今、この手にある、たった一枚の名刺以外無い。
果たしてこの名刺の場所に、今日あの女が居てくれるかどうかは、行ってみなければ分からないが
ジョーに選択の余地は無い・・・。


216 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/10/27(金) 23:11:44
「なんだよ!マッタク!ついてねーな!今日は!・・・・・」
何度も一人でそうつぶやきながら、名刺を頼りに、納得がいかないながらもジョーは、「街」を歩いていた。
見かける先々の交番で道を尋ね、歩くこと何時間が過ぎたのか、気が付けば
「街」は夜の姿を見せ始めていた。
「腹減ったし・・・一体何処にあるんだよ!ここは?!・・・」
そんな奮闘が続き、ジョーはやっとの思いでそれらしきビルの前まで辿り着くことが出来た・・・。
「やっと着いた・・・・。腹減った・・・。頼むぜ!あの女いてくれよ!・・・・・」
祈る思いと、この先のことなど考える余裕も無く、ビルの玄関の前に立ちすくんでいると
偶然、ガラスの向こうのビルの中に見覚えのある、あの女の姿が見えた。
「いた!!居てくれた!あの女だ!!・・・・・」
やっと見つけた女の姿は、いつも店にやってくる雰囲気とはまた違った様子だった・・・。
けれど、そんな彼女も、ビルの玄関の前で立ちすくんでいる美しい青年に気が付いたのだ・・・。

これが、今のジョーがサーフィン以外の
ある意味全く別の才能を開花させることになる全く別の世界に、足も体もどっぷり漬かる
きっかけとなってしまう運命の再会となるのだ・・・・・。


217 :名無SEA:2006/11/11(土) 14:08:04
中途半端な読物やのうw
さぁーてヘルスでも逝くか

218 :名無SEA:2006/11/17(金) 09:20:55
おーおおぉぉーーい みつこぉぉーー
父さんのメガネ知らんかぁー?

219 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/11/17(金) 11:09:34
「そんなに慌てて食べることないのよ・・・。すっごいおいしいでしょ?ここの料理?」
目の前に並んだ高級中華料理を、一心不乱にガッツク日焼けした美青年に
これまた透き通るほどの美人の女性が微笑みながら話掛けている。

ここは「街」の一角の、とあるビルの最上階ラウンジの有名高級中華料理店。
そんな処に、少々場違いに見える青年と馴染みの雰囲気を出している女性が、一つのテーブルに向かい合っていた。
女の名前は「愛」。
その容姿は名前以上に美しさと愛らしさが想像できるほどの色白の美人だ。
パッと見も年齢不詳。若くも見えるし、落ち着いた婦人のようにも見える。
「ねぇねぇ。やっぱり私に会いに来てくれたの?何にも連絡無しで来るからビックリしたけど・・・すごい嬉しいな。」
愛は可愛らしい笑顔を見せ、目の前の青年に話しかけた。
この青年の名はジョー。やっとの思いで愛のもとに辿り着いたジョーの発した第一声は
「腹減った・・・。もう歩けね〜・・・なんか食わせてくれ・・・。」
だ。そんなワケで、ここまで辿り着くいきさつも大して話す間もないうちに愛に連れられ
おそらく、いや確実に今まで食べたどんな料理より高級かつウマイ「飯」にありつくことになったのだ。
ジョーは愛の注文した料理を取り皿も使わず一通り平らげると、勢いそのままにコップの水を喉を鳴らしながら一気に飲み干す。
そして軽くゲップをし、大きく息を吐き出した。

220 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/11/17(金) 11:13:57
「あぁ〜食った・・・。つか、ありがとう。マジであんた居て良かったよ。オレ、街ん中で財布無くしちゃってさ・・・。
 けど、たまたまあんたの名刺があって、それ頼りに来たわけ。そんで・・・・・・
 ついでなんだけど・・・絶対返すから、帰りの電車賃も貸して貰えないかな・・・・・?」
この言葉に、愛の眉が一瞬吊り上がった。当たり前だ。
しかし、一瞬だけですぐに微笑みに変わり、今度はその美しい顔に似合わないほどの大きな声で笑った。
が、すぐにハッと我に返り、周りを伺い、恥ずかしそうな顔を浮かべると、涙交じりの笑顔のまま
「ごめんなさい・・・。てっきり私に会いに来てくれたのかと思っちゃった。そうじゃないのね。
 でも、これも何かの運命だし・・・、今日はもう少し私に付き合ってもらうわよ。
 それに心配しなくてもあなたをきちんとあの海辺の町まで届けるから。」
「えっ?・・・マジサンキュ。ほんと、あんた居なかったらマジで歩いて帰ろうと思ってたからさ・・・・・。
 でもほんと、電車賃だけあれば、ここの飯代と一緒にすぐ返すから・・・。ほんと、ワリーね。」
不器用と失礼極まり無い言葉だが、これでもジョーはそれなりに精一杯言葉を選んだのだ。

221 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/11/17(金) 11:17:41
愛はまた顔に似合わない高笑いをすると、すぐに手を口に当て
「あなた面白いし、とても純粋で可愛いわ・・・。ここは私がおごるから気にしなくていいのよ。
 それに、メニューを見ればすぐに撤回したくなるわよ。さっきのセリフ・・・。」
と、愛は微笑みながらテーブルの隅にあるメニューに視線を落とすと、それに気付いたジョーがメニューを手に取り
開いて中を見つめると同時に、ジョーは固まってしまった・・・。完全にフリーズだ・・・。
愛は爆発しそうな笑いをこらえ
「ね?・・・だから、ここは心配しないで。それより、
 貸しと言ってはなんだけど、今夜はせっかくこうして二人きりになれたんだから
 もう少し私に付き合ってもらうのは、OKだよね?」
この言葉でやっとフリーズが解かれたように、ジョーは口を開いた。
「わかった・・・・・。そ・・・そうするよ・・・。」
「それじゃー、デザートを頂いてから行きましょう。ここの杏仁は、とっても美味しいのよ!私、大好きなの。」
少しはしゃぎながら、続けさまに店員に注文する愛とは裏腹に、メニューの金額を見たとたん
腹よりも胸が一杯になってしまったジョーは
軽く作り笑いをし、黙ってただうなづくだけしかできなかったのである。



222 :名無SEA:2006/12/01(金) 15:22:10
おーい太郎ぉ〜太郎ぉ〜
お父さん、眼鏡は額にあるじゃないですか、いやだわもぅ

223 :名無SEA:2006/12/10(日) 15:43:41
いいんだよー

224 :名無SEA:2006/12/11(月) 21:15:05
 ∧_∧
( ` ∀´)
まぁまぁ、ここらで一息、茶でも飲んで
(   つ旦O
と_)_)

225 :名無SEA:2006/12/11(月) 21:23:51
↑パンダヌキ?

226 :名無SEA:2006/12/13(水) 19:49:38
リリーさん&新作さん
とてもおもしろいでつよ
つづき楽しみにしてまつ
+   +
  ∧_∧  +
 (0゜・∀・)
  ワクワクテカテカ
 (0゜∪ ∪ +
 と__)__) +


227 :名無SEA:2006/12/13(水) 22:40:51
「サーファーガール華子の一生」はどうなった?

228 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/12/21(木) 20:54:09
「ほら、いいから、遠慮せずに中へ入って。」
愛は高級マンションの一室の玄関の前で、中に入るのをためらい、躊躇しているジョーに優しく催促した。
「もう遅いし・・・帰りの電車なくなっちまうし・・・帰れなくなっちまうし・・・・・。」
ジョーは、生まれて初めて女性の部屋に招かれたことに動揺していたのはもちろんだが
何故か頭の片隅に「チョビさん」の顔がチラついて、そのことが一番気になって仕方が無く、愛の部屋に入るのをためらってもいた・・・。
「どうしたの?らしくないのね。いいから早く入りなさい。私がちゃんと送るから心配しなくていいの。兎に角、ドア閉めて。」
「・・・わかったから、ちゃんと送ってくれよ。・・・オレ、仕事サボったことは一度もねーからさ・・・・・。」
選択の余地も無く、諦めながらジョーは部屋の中に入りドアを閉めた。
初めて入る女性の部屋だった。
それに何より、都心の高級高層マンションの一室ということが、どれ程ジョーを現実から遠ざけたのか自分でもよくわからなかった。
廊下を抜け、部屋のリビングに入ると、そこから見下ろす都会の夜の景色にこの部屋に入るのを躊躇した自分を呪った。
「すっげー・・・・・。」
初めて海で得た感動とはまた違う感動を感じたのはこの時だった。
「どう?綺麗でしょ?ここが私の部屋なの。私もこの景色に憧れて・・・ここまで来るのには本当に大変だったわ・・・。」
まだ世の中の酸いも甘いも分からなかったジョーには、愛のこの言葉の中にある本当の「重み」も分かるはずもなく
ただ目の前にある現実葉離れした光景に酔い、胸を震わせていた。
「ジョー・・・。あなた、ここが気に入ったならいつでも来ていいのよ・・・。私もここに来てから誰かをここに招いたのも初めてなの。
 それよりもいつかあなたをここに呼ぼうと、あなたに逢った時から決めていたから・・・。
 何か飲みたかったら冷蔵庫の中のモノ勝手に飲んで構わないから・・・。グラスはそこの棚に入ってるわ・・・。
 私、シャワーを浴びてくるね・・・。」
そう言うと、愛は浴室の方へ消えて行ってしまった。
ジョーは上の空で返事をするだけで、窓の景色に釘付けになったまま時間も忘れていた・・・。


229 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/12/21(木) 21:02:46
部屋の明かりもつけず、どのくらい窓の外の景色を眺めていたのだろう。
ジョーの背後から不意に声が響き、ジョーは体を跳ね上がらせた。
「あら?まだそこに座ったままだったの・・・?あなたもシャワーを浴びてきなさい。
 沢山歩いたから、汗でベットベトでしょ?」
ジョーがハッと振り返ると、バスローブ姿の愛がグラスを片手にジョーのすぐ後ろに立っていた。
ジョーは時間も場所も忘れ、窓の景色に見とれていたため愛の気配に気付きもしなかったのだ。
「えっ?・・・・・オレ、いいよ。シャワー。・・・だって、もう帰るし・・・。」
そのジョーの言葉を聞いて愛は笑いながら
「あはは・・・本当に可愛いわね。ジョー。もう電車も無いだろうし、今夜はここに泊まっていくしかないのよ。
 今からのドライブは私も疲れて無理だしね。だから、言われた通り、早くシャワーを浴びて、今日の疲れを流してきなさい。」
少し考えたが、愛の言うとおり、ジョーにはどうすることも出来なく、軽くうなずくと浴室の方へ向かって行った。
今日は愛に会ってからいろいろなことを体験し、何故か愛の言うことに断りきれない負い目のようなものを感じ
若すぎるジョーは、この女の言うことに従うしかないことを理解した。
ジョーはシャワーを浴び、愛の用意してくれたバスローブに身を包み、リビングに行くと
そこにいるはずの愛の姿が見あたらなかった。

230 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/12/21(木) 21:05:17
真っ暗な部屋に、窓の外の「眠らない街」の明かりだけが頼りの中、ジョーは慌てて部屋の明かりのスイッチを探す。
すると、リビングと仕切りの無いベットルームの暗闇の方から愛の声がした。
「いいのよ。ジョー。明かりをつけずにこっちにいらっしゃい・・・。」
声のする方へ目を向けると、暗闇の中に愛の影があることに気付いた。
言われた通りにそのまま愛のそばに近づいていくと、愛がその美しい体に何も付けずにいることが分かった。
そのことが分かるとジョーはその場で動けなくなり固まった。またもやフリーズだ・・・。
目が暗闇に慣れてくるうちに、「街」の明かりよりも眩しく見えるような愛の姿に、どうしようもない恥ずかしさと緊張が体中に走るのを
心臓がチャドのドラムより激しくビートを刻んでいることで、余計に感じさせてくれた。
ビデオや雑誌で女の裸を見るのとワケが違う。
今、ここに、目の前に居るのは本物の女性。
しかも、誰がみても美しい女性だし、初めて見たナマの女性の裸。
更に、その裸の女性に自分も今、裸にされている・・・・・。
気持ちが・・・意識が、混乱するのさえ分かった・・・。
そして、若いジョーの「ムスコ」も立派に反り上がり、ビートを刻みながら脈打っている・・・。とても恥ずかしい・・・。
「やっぱり、初めてなのね・・・。可愛いわ・・・。ジョー・・・。
 ジョーは美しいし、私の理想とする男よ。ココも想像以上に立派なのね・・・。
 そんなに硬くなるのはココだけにして、体の力は抜いて私の言うことを聞いて、全て私に身を任せればいいの・・・。」
愛はそう言うと、ジョーの唇に自分の唇を重ね、ジョーをベットへといざなった。


231 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/12/21(木) 21:09:04
愛のSEXは素晴らしかった。
初めてのジョーには当たり前だが、それより何より初めてのジョーに対するエスコートの仕方が素晴らしいのである。
不器用に欲するジョーを優しくなだめながら、女の悦ばせ方を自然にカタチにさせ、ベットの上でのジョーの魅力を引き出していったのだ。
そんな愛に、ジョーは当然溺れていった。初めて女性を経験する悦びもあったが、愛の巧みなリードで
男に生まれてきた悦びさえも感じさせてくれた。
初めてのSEX。若いジョーはどのくらい「イッタ」のだろう・・・。
それこそ、時間も場所も明日のことも忘れ夢中になった。
そんなジョーに愛も優しく答えていった・・・。

ひとしきりの行為が終わり、愛がシャワーを浴び、ベットに戻るとジョーは男の儀式を終えた悦びなのか
笑顔のような顔で眠ってしまっていた。
愛はその美しい悦びに満ちた寝顔に軽くキスをした。
「ジョー・・・。あなたをもう離さないわ・・・。これからは私のために生きるのよ・・・・・。」
そんな言葉を残し、愛もジョーの横に体をつけて眠りに落ちた・・・。



232 :名無SEA:2006/12/29(金) 21:18:52
>223
いいんだよー

233 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/12/30(土) 09:48:00
次の日、ジョーはいつもと変わらず、開店前の朝、チョビさんの店の前にいた。
店の外のコンクリートの上で空を眺めながら口を開け、ぼーっとしていると、たまに思い出したようにニヤけるジョーが。
その姿を見ていたチョビさんは後ろからジョーの頭を引っ叩いた。
「イテッ!」
「イテッ!っじゃねーんだよ!へんな面しやがって!
 昨日、波がねーから、夜、美味いもんでも食わせてやろーと思っておまえんとこの部屋にわざわざ呼びに行ってやったのに
 居やしねーし。そんで今日は仕事だっつーのに朝から変な面して空見ながらぼーっとしてやがるし。
 つか、おまえ、昨日の夜は何処行ってたんだよ?」
「なんだ・・・。チョビさん・・・おはようっす・・・・・。」
「「なんだ・・・。チョビさん・・・おはようっす・・・・・。」じゃねーっつうの。
 話聞いてたの?オレの?ジョ〜ちゃんは一体何処に行っちゃってたのかな?昨日?」
「あ〜・・・。昨日っすか?波が無いから、ちょっと「街」に行ってたんすよ。・・・・・そんだけっす。」
「ふ〜ん。「街」ですか。つか、おまえさ〜、変な面して店の前に座りこんでたらよ〜、営業妨害よ。
 ったく、せっかくこのチョビさんが美味いもんでも・・・・・・・」
と、ブツブツ言ったまま、チョビさんは店の中へ入って行った。
「フ〜・・・。(あぶね〜。昨日の夜のことは絶対チョビさんに話せね〜・・・・・。)」
ため息の後、そっと薄ら笑いを浮かべるのを堪えた。


234 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2006/12/30(土) 09:49:41
ジョーは今朝、約束通り愛に、この町まで車で送ってもらったのだ。
寝起きに、夜の行為が忘れられず、愛の体を求めたのは言うまでもないが・・・・・。
なんだかんだ言っても、ジョーをしっかりこの町まで送り届け、次の約束までされたことがとても嬉しかった。
若いジョーはすっかり「愛」の虜状態になっていた。当然だ。
そしてその日から、愛との付き合いが始まった。もちろん、チョビさんには内緒でね。

愛のジョーに対する教育は完璧だった。
女を悦ばせるテクニックはもちろんだが、言葉使いからエスコートのマナーやその他いろいろ。
ジョーには決して強制すること無く、あくまで自然と身に付けさせたのだ。
ジョーも、なんともいえない愛の言い回しに、初めて自分の存在を必要とされた喜びを知り
更に愛との官能的な夜の行為に溺れ、愛の言うことは全て聞き入れるほどになったのだ。
気が付けば、ジョーは全ての女性を悦ばし、虜にするためのテクニックを備える、一つの商品になっていた・・・・・・。


235 :名無SEA:2007/01/06(土) 20:18:09
しかし

236 :名無SEA:2007/01/19(金) 17:12:45
グリーンだよ

237 :名無SEA:2007/01/20(土) 22:58:18
まだ。

238 :名無SEA:2007/01/22(月) 20:36:46
終わったなこの・・

239 :名無SEA:2007/01/29(月) 19:04:30
after a longtime ago
vigor?
everybody!
lily&brandnewman
thanks you!
yoursBOOK is
so fine
let's reading aseries!
and
surf
is
nice communication,


240 :名無SEA:2007/01/30(火) 17:13:42
意地age

241 :名無SEA:2007/01/30(火) 18:23:51
>>178
もの凄い勘違いだなw
でも元気だせ!

242 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2007/01/30(火) 19:03:53
初めて客の相手をしたのは、愛と出会ってから1年が経つか経たないかの
愛と出会った頃と同じく、まだ夏前の春の涼しさが残る時季だった。

相手はキョウコと名乗る中年の、何処の誰かも知らない、香水の臭いのキツイ金持ち奥様だった。
ジョーは愛に施されたスーツを着こなし、指定されたホテルに送って貰い、長い時間
この中年の婦人を満足させると、帰り際に封筒を受け取った。
その封筒を愛に手渡そうとすると
「ジョー。それはあなたのモノなの。受け取って、好きなように使いなさい。」
ジョーは封筒の中を覗くと、諭吉が10枚入っていた。
ただ愛に言われるがまま、教えられたまま、何処かの中年の婦人と
「愛」の無いSEXをしただけなのに、金を貰った・・・・・。

243 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2007/01/30(火) 19:07:37
今まで小遣い程度に愛から少々金を貰ったことはあるが、こんなにまとまった金を貰ったことはない。
そりゃそーだ。「チョビさん」の店で懸命にリペアして頑張っても、月に貰う給料は12万程度。
でもそんな金のことよりいろんなことでサポートされているジョーは何も文句があるわけが無い。
むしろ、ジョーでも分かるほどの貧乏サーフショップなので
「チョビさん、オレこんなにいらねーよ・・・・・。」
と言ったことがあるくらいだから。当然その時
「バカヤロー!独りで自立して、バカだが一生懸命やってるおまえの報酬なんだよ!」
って、やっぱり頭を殴られたことがあった。
なので、たかが一晩のSEXでこんなに貰えるとは夢にも思わなかったことだ。
しかも相手は愛では無く、愛の言うがままに初めて会った誰かなのに・・・・・。
ジョーはもう一度その封筒を愛に返そうとすると
「ジョー。私はあなたのこと本当に好きだし愛しているわ。でもねジョー、これはジョーにしか出来ないビジネスなの。
 そして大事なお客様から戴いたそのお金はそのままあなたの報酬になるの。
 だからこれはあなたが貰っていいお金なの・・・・・。」
ジョーは驚いた。自分が商品にされたことにここで初めて気が付いた。
そして愛の生活力や、なんで自分に近づいたのかも納得できた。
これまでの愛のジョーに対する接し方や行動を考えてみても、たかが女独りの力でここまで派手な生活を送れるワケが無い。
男も「商品」もジョーだけでは無いはずだ、他にもたくさんいるのだろう。
ジョーはそのことを、自分が疑問に思う全てを愛に問い質した。
そんなジョーの問いに愛は顔色も変えず、すんなり認めた。
ジョーはそんな愛が、何処か自分に似た寂しさを抱える者の独りだと感じた。
そしてジョーは、それ以上愛に何も聞くことは無く、遠くを見つめる愛の横顔に
これからも愛に尽くし、愛の言うがまま客の相手をすることを、自分から約束したのだ・・・・・。


244 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2007/01/30(火) 19:10:33
こうして、ジョーの「サーファー」としての生活と「男娼」としての生活が始まった。
今では、愛の抱える「客」のセレブ婦人の中では人気NO,1の「男」として稼ぐようになった。
愛との関係も相変わらず続いている。
そして「チョビさん」の店は今もあの頃と同じように付き合わせてもらっているが、リペアマンとしてのジョーの姿はもう無い。
当然だが「街」の婦人との「仕事」は食べていくには十分過ぎる程の報酬があるからだ。
だけどジョーは人並み以上に生活水準を上げようとも思っていないし、そうしてもいない。
ただ好きな時に波乗りが出来、たまに好きな海外の波に乗りに行ければそれでよかった。
紛らわしい人付き合いも、時間の流れの速すぎるこの世の中も、そんな世の中では意味の無さ過ぎるこの国のルールにも
ジョーはどれも馴染むことも溶け込むことも出来ないことを、自分が一番分かっていたからなのだ。

そして「街」に出て、色々な人々とすれ違い、「客」と「仕事」をし、愛と寝る。
その度にジョーは思っていた。
「こいつら、なんだって持っているのにこれ以上何が欲しいんだ?・・・・・・」

そんなジョーも、今は24回目の夏をむかえようとしていた・・・・・・・。

245 :Dayrunner:2007/01/31(水) 00:00:59
thanks to lily!
beer is good!
zzz...

246 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2007/01/31(水) 10:53:10
「さ〜て、そろそろウエットに着替えようかな〜♪」
辺りはだんだん薄明るくなってきていた。そろそろ夜明けだ。
ジョーはまだ日の昇る前の、特に波と天気の良い日の海への一番乗りがとても大好きだ。
けれどあいにく今日は曇り空。空を見ると今にも泣きそうな雰囲気を漂わせている。
「天気予報は晴れるって言ってたしな。低気圧が思ったより早く抜けなかったかな。
 でも、波あるし、一番乗りだし、風もそんなに吹いて無いし、「仕事」のケガレを落としちゃお〜かな〜。」
周りに誰も居なかったりすると、意外とおしゃべりになったりするのだ。この男は。


247 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2007/01/31(水) 10:57:49
ウエットに着替える前に、お決まりのトイレを済ませ、「きちんと手を洗い」、「きちんと手を拭く」。
波のコンディションはセットで頭から頭オーバー。形は少し早めだが、潮目の良さと重なり、時折抜けられそうなバレルになる波も現れる。
こんな波を見てしまうとサーファーなら誰でも心躍るはずだ。この男もそれは例外ではない。
辺りに民家も車も人影もなかったので、着替えながらも良質のセットが入る度に
「ヒュ〜ヒュ〜!イエ〜イ!!」
とわけのわからない奇声を上げ始めた。
ジョーはシーガルに身を包み、最近お気に入りのラウンドノーズのクアッド5’7”に丁寧にWAXUPし、ビーチに降りゆっくりと準備体操をしながらまた奇声を上げている。
「イ〜じゃん!イ〜じゃん!たまにいいの来るじゃない!誰も来ないうちに乗りまくっちゃうよ〜ん!」
多少ゲットの位置を考えアウトに出るが、このくらいのコンディションではジョーにとってなんてことは無い。
そしてアウトに出てからセットを待っているとかなり良さそうな波が入ってきた。
ファーストブレイクは乗らずに見送り、2本目のもう少しサイズのあるピークがワイド気味のセットに乗った。
かなり速めと思われた波は、ジョーの思惑通りテイクオフしてすぐにバレルとなった。
それを難なく抜けるとそのままショルダーまで走ったかと思ったら豪快にレールを切り返し大きなカットバックをした。
更に「バコン!」とリエントリーをかますと、今度はフィンが抜ける程のリップを3発入れ
最後のインサイドセクションにボードを当て込みながら体をレイドバックさせてフィニッシュ。
「ん〜。9.25ってところか?しかし、波、い〜んじゃね〜!?」
このボードでこれだけのパフォーマンスを見せることが出来るのは、このビーチではジョーしかいないだろう。
一般社会的な基準で人間性を考えると、ジョーはかなりのランク外と思われるが
海の上ではサーフィンを知っているものならば誰もが気にするパフォーマンスを見せる。
本当にサーフィンはかなり巧いし目立つ。しつこいようだが容姿もやはり目立つ。


248 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2007/01/31(水) 11:00:21
ジョーが海に入り30分あまり経った頃。
すでに何本もの良質のセットを乗りまくって、少し長めのセットを待っていると、海面に空から涙がポツリと落ちてきた。
「ゲッ!雨じゃん!これで天気が良ければ最高なんだけどな〜。」
と、もっともなことを言いながらビーチの方へ目をやると丁度1台の車が駐車場に入ってきた。
良く見覚えのあるその車は、チョビさんであることがすぐに分かった。
チョビさんは慣れたようにジョーの車の隣に着けると海に向かってパッシングをした。
それに答えるようにジョーもアウトに体を向けたまま右手を大きく上げた。
「やっぱり2番手はあのオッサンか。波がいい時はいつも1番取り合ってるからな・・・・・。
 残念だが、今日はオレがビーチ入りトップだぜ。
 ・・・・・ん?・・・・・あれ?」
しょーもないことを一人でブツブツ言っていると、ジョーがウエイティングポジションを取っているところより
更に20mくらい沖のうねりの中に何かが浮いているのが見えた。
「なんだ・・・・・あれ!?・・・・・オイオイ・・・・・ウソだろ!・・・マジかよ!・・・違っててくれよ!」
ジョーが驚くのも無理がない。
ブレイクする前のうねりに持ち上げられ時折カタチを見せるその物体は人くらいの大きさで
更に見れば見るほど、人間そのものにしか見えないのだから・・・・・。


249 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2007/01/31(水) 11:03:41
「ジョーのヤロー・・・。いい時には必ず居やがるな。今日も1番乗り取られちまったぜ・・・・・。」
チョビさんは車の中からアウトに一人でセットを待っているジョーにパッシングをしながら独り言を言っていた。
そして、ジョーが沖に浮かんでいるものに気が付くと同時にチョビさんも「それ」に同じく気が付いた。
「なんだ〜?あれっ!?・・・・・おっ、ジョーが向かって行ったぞ・・・。」
そんな海を覗いていたチョビさんの車のフロントガラスに雨のしずくがパラパラと落ち始めた。
たまらずチョビさんはワイパーのスイッチを1回だけ下に下げた。
とその時、目の前に突然閃光が走ったと感じた瞬間、ものすごい轟音が頭に響いた。
その衝撃にあまりにも驚いたチョビさんは飛び上がり、車の天井におもいっきり頭をぶつけた。
痛む頭を押さえながら何が起きたかも分からず、ワイパーのスイッチをいじった途端の出来事だったので
単純に車がイカレタのかと思い、ビビリながらワイパーのスイッチを入れたが今度は何ともない。
更に外に出て、ビクつきながら車のボンネット辺りを見回したが何でも無かった。
とその時、空が光ったと思ったら、さっきと同じ轟音が響いた。
「ひっ!」
不覚にも引き声を上げてしまったチョビさんだが、これでさっきの閃光と轟音の正体が分かった。
「雷」だったのだ。
「オイオイ・・・・・!突然の雷かよ・・・・・。」
と言った瞬間、一瞬で最初の閃光が「落雷」であることに気が付き
「あッ!」と思い、海を見返すとその光景に一瞬固まった。
沖に浮かんでいるジョーの体はボードの上にうつぶせに倒れ
ジョーの右手はすぐ近くに仰向けで浮いている女性と思われるその衣服を掴んでいた・・・・・。
・・・・・が、二人は動くことは無かった・・・・・。
そして、雨が激しくなったビーチにチョビさんの叫び声が雷のように響き渡っていた・・・・・。

「ジョーッ!!!」




250 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2007/01/31(水) 11:19:06
はいはい。ど〜も、リリーです。
長くなりましたが、これで「第一章(ジョー篇)」は終わりです・・・。
この後の続きは、後はみんなの想像におまかせ!ってなこと言ったら怒るかな〜?www
仕事や、海に行きたい都合等いろいろあるので、また暇が出来て、機会があれば載せてみようかと
位に思ってますが、あまり面白くなかったかな?

え〜っと、長々こんな素人の話に付き合ってもらって、みなさんありがとうございました!
すっげ〜反響あったりしたら、また続きをチンタラ載せようかと思います。
ま〜、そんな反響なんかね〜と思うけどwww

ではまた!


251 :名無SEA:2007/02/01(木) 23:00:56
 ∧_∧
( ` ∀´)
おちかれさま〜
お茶でもドゾー
(  つ旦O
と_)_)



252 :名無SEA:2007/02/02(金) 09:02:28
。・゚・(ノД`)・゚・。
みんな続き待ってるぞ

253 :名無SEA:2007/02/02(金) 12:56:12
中途半端で逃げるなよー

254 :名無SEA:2007/02/05(月) 16:18:10
>>250
なんか、想像におまかせも何も最後のところ意味がよくわからないのですが

255 :名無SEA:2007/02/05(月) 18:42:22
ナニ?コノオワリカタ…(・_・|

256 :名無SEA:2007/02/05(月) 19:16:56
続きを〜お願いします〜!

257 :名無SEA:2007/02/05(月) 23:07:41
もういいだろ

258 :名無SEA:2007/02/06(火) 11:05:07
続編、期待してますね☆

259 :名無SEA:2007/02/06(火) 14:08:16
(*´Д`)ハァハァ

まだー

260 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2007/02/09(金) 07:50:08
みなさま、ごぶさたしております。リリーさん、おつかれさまでした。
故障したPCも復帰しましたので近々再開したいと思います。
みなさま再びよろしくです。

261 :名無SEA:2007/02/11(日) 22:43:06
ok!
let's go!
trip the your world!
and
surf is ballance!


262 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2007/02/13(火) 14:21:34
それではみなさま、またぼちぼちアップしていきます。

では、>>89からの続きとなります。

263 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2007/02/13(火) 14:25:03

「台風が来る」
携帯の気象サイトに見入っていた少年が呟いた。本を読んでいた華子は少年の携帯電話を覗き込むとそこには台風を
示す円が見え、その後の進路予想が表示されていた。
華子と少年は買い物を済ませると海まで戻ったが風はまだ止んでおらず、ワーゲンバスの中でぼんやりと時を過ごしていた。
太郎は車の影に寝そべり眠っている。午後になると日差しはさらに強くなり、それを避けるかのように人の姿はほとんど見られず
風と波の音が聞こえるだけだった。
少年は雑貨屋で買った麦わら帽子がよほど気に入ったのか車の中でもかぶったままでいる。華子はそんな少年を見て微笑した。
「華子、予定変更だ」
少年は携帯から顔を上げるとこれから次のポイントに移動するという。
「どこへ行くの?」
「とっておきの台風ポイントさ」
そこは三年前に少年がトリップに出たとき偶然見つけた場所らしい。普段はまったく波がたたないが発達した低気圧や台風が来ると
とんでもないうねりが入る特別なポイントだと少年は言った。
「すごい!そんな場所があるんだ」
「まあな。ただ台風のコース次第でまだ何とも言えないけどね」
「いいよ、行こうよ。でもあんまり大きいとわたし乗れないけど大丈夫かな?」
「うーんそうだな、場合によっては見学になるかもしれない」
少年は何かを考えているようだったが強い視線で華子を見つめるとぽつりと言った。
「けりをつけに行きたいんだ」
「どういうこと?」
「おそらくこの台風であいつもそのポイントに現れる。そいつとの決着さ」
少年は三年前にそのポイントで初めてその人物に会ったらしいが、それ以上のことは華子には話そうとしなかった。
「なんかよくわかんないけど、つき合うよ」
華子は少年とそこに現れるという人物との間に何があったかわからなかったが、敢えて聞きこうとも思わなかった。
しかし、そこが今回のトリップの最終目的地なることだけはなんとなくわかった。


264 :名無SEA:2007/02/14(水) 01:13:55
サーファーとして生きて、で、社会人としてはどうよ?

265 :名無SEA:2007/02/14(水) 03:35:22
>>264みたいに粘着野郎になっているんぢゃね?

266 :名無SEA:2007/02/14(水) 04:53:55
バカじゃねーの
サーファーとして生きてる奴などネットしかいない
自分は生きてるがサーフィンもやれる、それだけだ。

267 :名無SEA:2007/02/14(水) 09:26:47
逆にいうとサーファーとして生きてる奴はネットをしない。

268 :名無SEA:2007/02/14(水) 10:24:44
そんなことはない。
ネットしないでサーフィンばかりやってるのは頭が悪いから。
賢いサーファーは波乗りもうまいし稼ぎもいい。
サーファーだから・・で何でも済ますのやめてくれない?
馬鹿っぽいから。

269 :名無SEA:2007/02/14(水) 10:29:25
バカ?
ネットがなんぼのもんじゃい?
ヒキオタの主張かよ。

270 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2007/02/20(火) 15:07:36

移動のために高速道路をいくつか乗り継いで一般道に降りた頃にはすっかり陽が暮れていた。
そこは幹線道路で沿道にはレストランやパチンコ屋、大型スーパーなどが点在しており派手な電飾看板がいくつも見えた。
華子は自分たちがどこにいるのかまったく見当もつかなかったが、まだ海からは程遠い場所にいるのだろうと思った。
昼間の灼けつく太陽のせいかアスファルトから立ち上る熱気はいまだに消えず、
車窓から入ってくる湿った風にはこれから訪れる夏の香りが微かに匂った。
「ねえ、お腹空いたよ」
街道沿いに建つチェーンのレストランを目にした華子は少年に言った。
「そうだな。この町を過ぎたらしばらくコンビニもなさそうだからどこかで夕飯にするか」
少年はしばらくきょろきょろと辺りを見ながら運転を続けると
不意にウィンカーを出して整備された広い駐車場にワーゲンバスを乗り入れた。
そこはファミリーレストランのような建物だったが店名には見覚えがなく、どんな料理があるのかよくわからない店だった。
車を降りると太郎にリードをつけてワーゲンバスに繋ぎ、水を与えてから華子と少年はレストランに入った。
太郎の様子が見える窓際の席に向かい合って座り、
注文を済ませると華子は海まであとどれくらいの時間がかかるのか少年に聞いた。
「たぶんここから3時間くらいで着くと思うけど、ちょっとやっかいな場所なんだ」
「何がやっかいなの?」
「車を降りてから20分くらい山道を歩かなきゃならない」
「山道って、一体どんなところなの?」
なぜ海へ行くのに山道を歩かなければならないのか、それが結びつかない華子は少年に尋ねた。
「3年前のことなんだけどな、そのときもやっぱり台風が来ていた。俺はたまたま近くにいたんだけど
地図を見ていたらどうしてもその界隈で波が起っていないか海を見たくなったんだ」
少年は道路マップを頼りに海に近い道を辿ったが、そこは山道ばかりで到底海まで出られそうな場所は無かったそうだ。
おそらく陸路は無いのだろうと諦めかけていると、路肩に停まっていた一台の軽トラックが視界に入った。
「それで最初は一度は通り過ぎたんだけど、なんか気になってその軽トラックまで引き返して辺りを散策したら見つけたんだよ」


271 :名無SEA:2007/02/20(火) 19:10:54
っで?

272 :名無SEA:2007/02/25(日) 06:54:16
+   +
  ∧_∧  +
 (0゜・∀・)
  ワクワクテカテカ
 (0゜∪ ∪ +
 と__)__) +

  ツヅキマダァー?

273 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2007/02/27(火) 17:45:51

少年はガードレールの切れ間から山へと分け入る小径を発見したときの様子を少し興奮しながら話し始めた。
「あれは車で走ってたら絶対気づかないような道だったな」
しばらくその小径の入り口に立って山の中を覗き込み、はたしてこの先が海に繋がっているのだろうかと少年は考えた。
それは道といっても幅40cm程度で草が倒れているだけの''道らしき''代物だったからだ。
しかし行ってみる価値はある。それは、おそらく軽トラックの主もこの道を通りどこかへ向かったことは間違いないと思ったからだった。
少年は意を決して山へ入る小径を歩き出した。鬱蒼と茂る木々の間から僅かな光しか差し込まない薄暗い道は緩い勾配で下っていたが
しばらく歩くとその道は急勾配に変わり先へと続いていた。
大丈夫だろうか?このまま進めば山の奥底へ迷い込んでしまい二度と戻れないような不安に陥り、少年は何度か引き返そうと思った。
だが今まで下ってきた道のりを考えると何の成果も得ずに引き返すほうが馬鹿らしく思えて前へ進むことを選択した。
「それで、それでどうしたの?」
「一本道だったから迷うことはないだろうと思ってとにかく進んだんだ。それにあいつも一緒だったからな」
そう言うと少年はワーゲンバスの傍らで伏せっている太郎の方を見た。


274 :新作野郎 ◆A4jsQTgi.Q :2007/02/27(火) 17:47:33

急勾配の道を注意しながらさらに進むとある地点を境に道は急に平坦に変わり、その先には木々の間にぽっかりと口を開けた
山の終わりを示す出口が見えた。そしてそこまで辿り着くと少年の視界に紺碧の海が飛び込んできた。
遥か彼方の沖合には白い波頭がスローモーションでも見るようにゆっくりとブレイクしていた。
少年はあらためて辺りを見回した。自分がいる場所を確認すると、そこは崖の中腹で下を見るとまだ10m位の高さがあり
両サイドは見上げる程高い切り立った崖に囲まれた小さな海岸だった。
「それでさあ、どうやって下に降りようかしばらく考えてたら、あいつが崖の岩をつたって下に降りていったんだ」
再び少年は太郎を見て言った。驚いたことに太郎は逡巡していた少年を傍目に崖に飛び出た階段状の岩を見つけあっさりと
小さな海岸に降り立ったのだった。
「そうなんだ。太郎を連れてって正解だったわけね。それで波はどうだったの?」
「すごい沖でブレイクしている波が見えた。それってどういうことかわかる?」
「わかんない。どういうこと?」
「かなりでかかったってことさ」
少年はまるでそのときのことを思い出したように視線を漂わせ、再び華子を見ると言った。
「そこには一人だけサーファーがいて、そのでかい波に乗っていたんだ」


275 :リリー・フランケンシュタイナー ◆9l9B9xKFwA :2007/03/05(月) 10:42:25
おっ!久々覗いたら、新作君復活じゃん!
新作君の連載が終わったら続きを載せっかな・・・。
それまでに書き終わるかが、問題。。。

つーことで、新作くん乙!
また読ませて頂きます。
ヨロシク!



276 :名無SEA:2007/03/14(水) 19:54:38
又後で

277 :名無SEA:2007/03/16(金) 22:38:10
今日は3月16日だぜ、
続きはまだかよ!

278 :名無SEA:2007/03/18(日) 00:00:00
サーフィンしてるだけやろ。くくるなサーファーって。サーファーってバカバッカシ。目の前の波だけ考えろ

279 :名無SEA:2007/03/18(日) 00:33:46
おぉーいwwみつ子
とうさんのたこ焼きはどぉーした?

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